論語物語(下村湖人)のあらすじ・登場人物
孔子と弟子たちの、小さな物語
- 歴史
- 文字数
- 131,781字
- 読了目安
- 約4時間24分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
1938年(昭和13年)に雑誌「現代」へ連載された下村湖人の代表作のひとつ。論語のなかの言葉を核として、孔子と弟子たちのやりとりを一話ごとの小さな物語に仕立て直した作品である。著者は序文で、論語は「天の書」であると同時に「地の書」であり、孔子は地の声をもって天の言葉を語った人だと述べる。子路、顔淵、子貢ら門人たちの弱さや虚栄を掘り返すことによって、読者が自らの弱さと醜さに気づくよう仕組まれており、教育者としての湖人の思想がよく表れている。
あらすじ
「論語は『天の書』であると共に『地の書』である」——序文でそう説き起こした著者は、孔子を、一生こつこつと地上を歩きながら天の言葉を語るようになった人だと定義する。神秘も奇蹟もなく、ただ地の声をもって天を語った人。それに対して門人たちの多くは、結局は地の言葉しか語ることができず、なかには天の響きをもって地の言葉を語ろうとする虚偽さえ犯す者がいた。そこに彼らの弱さがあり、その弱さは人間が共通に持つ弱さでもある。本書は、こうした論語の言葉を読んだときの感激にまかせて、それぞれを小さな物語へ仕立てたものである。血気にはやって師に叱られる子路、貧に処して道を楽しむ顔淵、才走って人を評する子貢、志半ばで倒れる若者たち——師のひと言に打たれ、あるいは打たれてなお悟れずにいる弟子たちの姿が、平明な現代語の物語として次々に描き出される。巻末には典拠となった論語の原文が付され、物語と原文とを往復して読めるようになっている。
登場人物
- 孔子 地の声をもって天の言葉を語る師
- 子路 血気にはやり、しばしば師に叱られる門人
- 顔淵 貧に処して道を楽しむ、孔子の愛弟子
- 子貢 弁才に長け、人を評することを好む門人
冒頭部(原文より)
序文 論語は「天の書」であると共に「地の書」である。孔子は一生こつこつと地上を歩きながら、天の言葉を語るようになった人である。天の言葉は語ったが、彼には神秘もなければ、奇蹟もなかった。いわば、地の声をもって天の言葉を語った人なのである。
「論語物語」下村湖人(青空文庫)
末尾部(原文より)
5 子曰く、我を知ること莫きかなと。子貢曰く、何爲れぞ其れ子を知ること莫からんと。子曰く、天を怨みず、人を尤めず。下学して上達す。我を知る者は其れ天かと。(憲問篇)
「論語物語」下村湖人(青空文庫)
原文を読む
原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。