柿(山本周五郎)のあらすじ・登場人物
密命を帯びた武士の別れ
- 歴史
- 文字数
- 12,573字
- 読了目安
- 約25分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
山本周五郎が1939年(昭和14年)、「現代」に発表した時代小説。ある密命を託され、危険な旅へと発つ武士・兵馬と、その身を案じて見送る小房。緊迫した使命と、別れぎわの情を、簡潔な筆致で描いた一編である。
あらすじ
「おい牧野、起きないか」——旅の途上、疲れて動けなくなった仲間を起こしあぐねる兵馬。仲間の小房に手を貸してもらいながら、彼らは、重い使命を帯びた道を急いでいた。物語は、ある密命を託された武士・兵馬を中心に、緊迫した状況のなかで交わされる、人と人との情をたどっていく。やがて兵馬は、託された大切なものを「必ず渡す」と誓い、危険な旅へと一人発っていく。「吉報を待っていろ、さらばだ」——鞭をあげて馬を駆る兵馬。小房は、夜風のなかに遠ざかっていく蹄の音を聞きながら、いつまでもその場に立ち尽くしていた。使命に生きる者の覚悟と、別れぎわの情を、簡潔で余韻ゆたかな筆致で描いた、山本の一編である。
登場人物
- 兵馬 密命を帯びて発つ武士
- 小房 兵馬を見送る者
- 牧野 旅の仲間
冒頭部(原文より)
「おい牧野、起きないか」 「勘弁して呉れ、本当にもう駄目だ」 「……仕様がないな」 起しあぐねて兵馬は振返った。 「ちょっと手をかして呉れ小房、どうしても動きそうもないぞこれは」
「柿」山本周五郎(青空文庫)
末尾部(原文より)
「吉報を待っていろ、さらばだ」 兵馬は鞭をあげた。……小房は夜風のなかに、遠ざかり行く蹄の音を聞きながらいつまでも立ち尽していた。
「柿」山本周五郎(青空文庫)
原文を読む
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