原爆文学とは
- 分類
- 形式・ジャンル
- 読み
- げんばくぶんがく
広島・長崎への原子爆弾投下とその後を主題とする文学。多くは被爆した書き手自身の体験に根ざしており、起きたことを記録するという務めと、言葉にしがたい体験をどう表現するかという問いとが、分かちがたく結びついている点に特色がある。占領期にはGHQのプレスコード(報道準則)によって原爆に関する記述が厳しく制限され、発表はしばしば妨げられた。広島で被爆した原民喜は、当初「原子爆弾」と題した作品を改題した『夏の花』を昭和22年(1947年)に「三田文学」へ発表し、抑制のきいた簡潔な文体で惨状を刻んで原爆文学の代表作とした。峠三吉は「ちちをかえせ ははをかえせ」の一節で知られる『原爆詩集』を昭和26年(1951年)、東京の出版社に発売を断られて広島でガリ版刷り五百部の自家版として世に出している。大田洋子『屍の街』(昭和23年)、長崎で被爆した医師・永井隆の『長崎の鐘』(昭和24年)も早い時期の記録であり、その系譜は井伏鱒二『黒い雨』へと続いていく。