往生要集とは
- 分類
- その他
- 読み
- おうじょうようしゅう
平安時代中期の僧・源信(恵心僧都)が著した仏教書で、寛和元年(985年)に成立した。3巻。比叡山の横川に住んだ源信が、多くの経典や論書から極楽往生に関わる文を集め、十の章(十門)に整理して、極楽浄土に生まれ変わる(往生する)ための方法として念仏の実践を勧める。冒頭の「厭離穢土、欣求浄土」の語に示されるように、まず地獄・餓鬼・畜生などの苦しみに満ちた世界を厭い離れ、次いで極楽を願い求めよと説く。地獄の様子は、八大地獄の責め苦が具体的で生々しく描かれ、人々に強い印象を与えた。成立の翌年には宋にも送られている。この書が浄土教の広まりに果たした役割は大きく、貴族から庶民へと念仏の信仰が及び、のちの法然・親鸞の浄土の教えの先駆けとなった。文学では『源氏物語』など平安中期以降の作品に宿る来世観や無常観の背景にあたり、宇治十帖で浮舟を救う「横川の僧都」は源信がモデルとされる。地獄絵や来迎図など美術にも多大な影響を与え、地獄と極楽のイメージは、説話集を経て近代の芥川龍之介『地獄変』や『往生絵巻』のような作品にまで受け継がれている。