お伽噺とは

分類
形式・ジャンル
読み
おとぎばなし

明治20年代から大正期にかけて、子ども向けに書かれ、また語られた物語の呼び名。御伽草子以来の「おとぎ」の語を受け継ぎ、昔話の再話、外国の童話の翻案、創作の物語までを広く含んだ。近代の児童文学の出発点とされるのが、明治24年(1891年)1月に博文館の「少年文学」叢書第一編として刊行された巌谷小波の『こがね丸』で、犬の黄金丸を主人公に、動物の世界へ人間の身分や義理を移した物語を、声に出して読みやすい文語体で書いた。森鴎外が序を寄せている。小波はその後、博文館から『日本昔噺』(明治27〜29年、全24編)、続く『日本お伽噺』『世界お伽噺』の叢書を出し、明治28年(1895年)創刊の「少年世界」の主筆として少年向けの読み物を書き続けて、「お伽噺」の名を広めた。昔話を親しみやすく語り直したお伽噺は家庭や学校に浸透したが、勧善懲悪や教訓を重んじる傾向も強く、大正7年(1918年)創刊の「赤い鳥」に始まる童話運動は、子どもの心に訴える芸術としての「童話」を掲げて、これを乗り越えようとした。昭和20年(1945年)には太宰治が、防空壕で子に絵本を読んでやる父という枠組みで昔話を大人の物語に語り直し、この語を題に用いた『お伽草紙』を書いている。

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