戦時下の文学とは

分類
その他
読み
せんじかのぶんがく

日中戦争が始まった昭和12年(1937年)から敗戦までの、統制のもとに置かれた文学の状況をいう。南京での兵士の実態を描いた石川達三『生きてゐる兵隊』は、掲載された「中央公論」昭和13年3月号が即日発売禁止となり、石川自身も新聞紙法違反に問われて有罪となって、戦争の暗部に触れる表現は封じられた。一方、同じ昭和13年8月には内閣情報部の依頼を受けた菊池寛を中心に作家を戦地へ送る「ペン部隊」が組織され、久米正雄・吉川英治・林芙美子・尾崎士郎らが従軍記を書いている。昭和17年(1942年)5月には情報局の指導で日本文学報国会が設立され、徳富蘇峰を会長に文学者のほとんどが加入して、大東亜文学者大会の開催など国策の宣伝に動員された(中里介山と内田百閒は加入を拒んでいる)。太宰治が情報局と文学報国会の依頼で書いた『惜別』は、宣伝臭を避けて青年・魯迅の友情の物語に仕立てた例である。用紙の統制で雑誌の統廃合も相次ぎ、文学報国会は敗戦後の昭和20年(1945年)に解散した。

関連する用語

この用語に関わる作品

この用語に関わる作家