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革命の研究(クロポトキン)のあらすじ・登場人物

思想の臆病を撃つ革命論

  • 社会
  • 翻訳

クロポトキン 訳者 大杉栄 

文字数
15,587字
読了目安
約31分
表記
新字新仮名

この作品について

ロシアの無政府主義者クロポトキンが、1891年にフランスの無政府主義の新聞に連載した革命論を、大杉栄が訳したもの。フランス大革命から1848年の革命、パリ・コミューンまでをふり返り、革命家たちが行動では大胆でも思想では臆病で、過去の制度を手本にしたために敗れてきたと論じる。大杉は訳者のことばで、この論をロシア革命後の現状に照らすとますます真実だと述べており、ロシア革命後の情勢を意識して日本の労働者へ紹介したことがうかがえる。

あらすじ

変動の時代が近づくと、現制度への不平家たちが革命家の肩書を争って名乗るが、いざ革命が来て日常の秩序が崩れると、その多くは秩序の守護者の側へ走り、革命を救うという口実でそれに轡をはめる。クロポトキンは、ミラボー、ダントン、ロベスピエール、マラーらを理想とする歴史家たちが、無名の民衆の成し遂げた大事業を見えなくしてきたと批判する。フランス大革命の指導者たちは、バスティーユの襲撃や王の捕縛には大胆でありながら、王政の廃止、教会、封建制の遺物、私有財産といった問題では民衆より遅れ、1848年の革命も、1871年のパリ・コミューンも、倒した国家を小さく作り直す政治的独裁しか考えなかった。これに対し近代の自然科学や技術、芸術は、不変という考えを捨てて大胆に前へ進んできたと対比し、政治と経済だけが過去に霊感を求めていると指摘する。マルクス派やブランキ派を含む今日の革命諸党も、みな独裁と合法的な虐殺、全能の国家と代議政治を夢みていると論じ、恐怖政治は独裁を準備し民衆を縛る鎖を鋳るものだとする。敵に勝つには断頭台よりも革命的な思想が必要であり、各都市・農村で圧制の機関をただちに廃し、住宅や生産・交換を社会化して新しい生活を始めることだ、と結ぶ。

冒頭部(原文より)

 革命という言葉は、今では、被圧制者の唇にも、また所有者の唇にすらも、しばしば上る。すでにもう、時々、近い将来の変動の最初の顫えが感ぜられる。そして、大なる変動や変化の近づいて来る時にはいつもそうであるが、現制度の不平者は――その不平がどんなに小さくてもいい――かつては実に危険であった革命家という肩書を争って自分につける。彼等は現制度を見限って、何等かの新制度を試みようとする。それで彼等には十分なのだ。  あらゆる色合の不平家の群が、こうして活動家の列の中に流れこむことは、勿論革命的形勢の力を創り、革命を不可避にする。多少でもいわゆる輿論に支持されていれば、宮殿や議会の中でのちょっとした陰謀でも政権を変え、また時としては政府の形式をすらも変えることができる。  しかし革命は、それが経済組織にもある変化を及ぼそうというには、多数の意志の協力がいる。幾百万の人の多少活発な支持と協力とがなければ、革命はとうてい不可能である。いたるところに、どこの村にも、過去の取壊しに従事する人がいなければ駄目だ。そして他の幾百万の人は何かもっといいことが起るという望みの下に黙ってやらしていなければ駄目だ。

「革命の研究」クロポトキン(青空文庫)

末尾部(原文より)

 敵に打ち勝つためには、断頭台よりももっと以上のもの、恐怖政治よりももっと以上のものがいる。革命的思想がいる。本当に革命的な、広大な、敵が今までそれによって支配して来たあらゆる道具を麻痺させて無能のものにしてしまうほどの、思想がいる。  もし、敵に打ち勝つためには恐怖政治しかないということであったら、革命の将来はどんなに悲しいことであろう。が、幸いに、革命には、それと違った有力な他の方法があるのだ。そしてこの方法はすでに、どんな方法が彼等に勝利を確かめるかということを求めている革命家等の新しい世代の中に芽ざしているのだ。彼等は、それがために、何よりもまず、旧制度の代表者からその圧制の武器を奪い取らねばならないことを知っている。あらゆる都市、あらゆる農村において、あらゆる圧制の主要機関をたちどころに廃止しなければならぬことを知っている。ことにはまた、かくして解放された都会や農村に、住宅や生産機関や運輸の方法や、また食料その他生活に必要ないっさいのものの交換を社会化して、社会生活の新しい型を始めなければならないことを知っている。

「革命の研究」クロポトキン(青空文庫)

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