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みみずのたはこと(徳冨蘆花)のあらすじ・登場人物

四十にして大地に脚を立てた記録

  • 家族

徳冨蘆花 1913年(大正2年)

文字数
264,428字
読了目安
約8時間49分
表記
新字新仮名
種別
随筆
舞台
  • 東京都

この作品について

「不如帰」で流行作家となった徳冨蘆花が、名声を捨てて武蔵野の粕谷村へ移り、みずから鍬を持って畑を耕した六年間の記録。四季の農作業、村人との交わり、旅と読書、そして土に生きることの喜びと厳しさが、克明に、また詩情ゆたかに綴られる。「土の福音」と呼ばれ、版を重ねて十万部を超えた蘆花の代表作である。

あらすじ

「儂の村住居も、満六年になった」——蘆花は四十五歳、鏡を見れば頭髪にも髭にも白いものがふえている。エルサレム巡礼とトルストイ訪問の旅から帰り、東京を離れて武蔵野の粕谷村(現・世田谷区)に移り住んだ蘆花は、「美的百姓」を自称しながら、実際に鍬を持ち、麦を播き、堆肥を積み、鶏を飼う暮らしを始めた。本書はその生活の記録である。移り住んだ当初のあばら家から、浴室を建て増し、離れの書院を建て、廊下でつないでいった家の変遷。春の耕し、夏の草取り、秋の収穫、冬の落葉かき。となりの畑の百姓との会話、村の巡査、物売り、来訪する文学青年たち。トルストイのこと、兄・蘇峰との不和、亡き友への思い、そして自分自身の虚栄と怠惰への容赦ない反省。土に触れることで見えてきた生と死のかたちが、飾らない筆致で積み重ねられてゆく。「みゝず」とは、土のなかで黙々と働き、目立たぬまま土を肥やす者のこと——名声の世界を降りた自分をそう呼んだのである。刊行後、本は版を重ねて十万部を超え、著者はこう書き記した。「土の上に生活して生あり、死あり、而して復生ある生命の連鎖に人が繋がる限り『みゝずのたはこと』は読まるべきものだ」。

冒頭部(原文より)

 儂の村住居も、満六年になった。暦の齢は四十五、鏡を見ると頭髪や満面の熊毛に白いのがふえたには今更の様に驚く。  元来田舎者のぼんやり者だが、近来ます/\杢兵衛太五作式になったことを自覚する。先日上野を歩いて居たら、車夫が御案内しましょうか、と来た。銀座日本橋あたりで買物すると、田舎者扱いされて毎々腹を立てる。

「みみずのたはこと」徳冨蘆花(青空文庫)

末尾部(原文より)

で、私には煩悩子だ。「みゝずのたはこと」あって初めて「新春」がある。土の上に生活して生あり、死あり、而して復生ある生命の連鎖に人が繋がる限り『みゝずのたはこと』は読まるべきものだ。 大正九年十一月 著者記

「みみずのたはこと」徳冨蘆花(青空文庫)

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