グリム兄弟の名文
グリム兄弟の作品から、よく知られた一節を集めました。
12件
白雪姫
「どうかして、わたしは、雪のようにからだが白く、血のように赤いうつくしいほっぺたをもち、このこくたんのわくのように黒い髪をした子がほしいものだ。」
雪の日、針で指を刺した女王が心に願う場面。雪・血・黒檀という三つの色が、白雪姫の名と姿の由来となる。
ラプンツェル
「ラプンツェルや! ラプンツェルや! お前の頭髪を下げておくれ!」
塔の下で魔女が呼びかける、グリム童話『ラプンツェル』の名高い呪文めいた言葉。長い髪が塔へ登る唯一の道になる。
赤ずきんちゃん
「あら、おばあさん、なんて大きなお耳。」
グリム童話『赤ずきん』の有名な問答の始まり。ベッドの「おばあさん」の耳、目、手、口と問いを重ねるたびに緊張が高まる。
ヘンゼルとグレーテル
ちょうどお月さまが、ひるのようにあかるく照っていて、うちの前にしいてある白い小砂利が、それこそ銀貨のように、きらきらしていました。
森に置き去りにされると知ったヘンゼルが夜中に外へ出る場面。月光に光る小石が、兄妹の帰り道を照らす知恵となる。
ふたりがこやのすぐそばまで行ってみますと、まあこのかわいいこやは、パンでできていて、屋根はお菓子でふいてありました。おまけに、窓はぴかぴかするお砂糖でした。
森で迷った兄妹がたどり着いたお菓子の家。飢えた子供の夢そのものの光景が、同時に甘い罠でもある。
ブレーメンの町楽隊
ころされて死ぬくらいなら、すこしは気のきいた所が、どこへ行ったってあろうじゃないか。
スープにされそうなおんどりを、ろばが旅に誘う言葉。主人に見捨てられた老いた動物たちが、新しい道を選ぶ物語の精神を表す。
ろばは、前足を窓にのせることになりました。犬は、ろばのせなかにとびあがることにしました。ねこは犬のせなかによじのぼることにしました。おしまいに、おんどりが、ばさばさととびあがって、ねこの頭の上にのっかりました。
どろぼうの家を見つけた四匹が、互いの背に乗って一体となる場面。音楽隊の姿として広く知られる、物語いちばんの見せ場。
おおかみと七ひきのこどもやぎ
「あけてやらない。おかあさんじゃないから。おかあさんは、きれいな、いい声してるけれど、おまえはしゃがれっ声のがあがあ声だもの。おまえはおおかみだい。」
母やぎの言いつけを守る子やぎたちの返事。声や足の色で見破ろうとする子らと、化けようとするおおかみの知恵比べが続く。
星の銀貨
さて、それまでしてやって、それこそ、ないといって、きれいさっぱりなくなってしまったとき、たちまち、たかい空の上から、お星さまがばらばらおちて来ました。
グリム童話『星の銀貨』で、すべてを人に与え尽くした女の子に起こる奇跡。短い話の頂点となる、静かで美しい一節。
かえるの王さま
むかしむかし、たれのどんなのぞみでも、おもうようにかなったときのことでございます。
グリム童話集の巻頭を飾る『かえるの王さま』の書き出し。願いがかなった昔という一文で、魔法の世界へ導き入れる。
ルンペルシュチルツヒェン
きょうはパンやき、あしたは酒つくり、 一夜あければ妃のこどもだ。 はれやれ、めでたい、たれにもわからぬ、 おらの名前は、 ルンペルシュチルツヒェン。
森のたき火のまわりで小人が一本足で跳ねながら歌う歌。だれにもわかるまいと得意がる名前こそ、物語の鍵を握る。
「じゃあ、たぶん、おまえの名前は、ルンペルシュチルツヒェン。」
三日目、お妃がとうとう小人の名前を言い当てる場面。名前を知られることが小人の力を失わせる、昔話らしい山場。