文壇とは
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- ぶんだん
作家・批評家・雑誌編集者など、文学に携わる人々のつながりがつくる社会。その成立は一般に、明治20年代に尾崎紅葉を棟梁として結ばれた硯友社にさかのぼるとされる。紅葉のもとに弟子が集まり、機関誌や雑誌の紙面を通じて新人が世に出る仕組みができあがったためで、紅葉が晩年に口述した『硯友社の沿革』はその成り立ちを伝える第一級の史料である。以後、文芸雑誌と新聞の学芸欄、同人雑誌が文壇の舞台となり、夏目漱石の木曜会や自然主義の作家が集った龍土会のような会合が人と人を結んだ。同人雑誌に書いた作品が文芸誌に認められることを「文壇に出る」といい、芥川龍之介の『あの頃の自分の事』(大正8年)は、同人誌「新思潮」を興した大学生たちが文壇をうかがいながら過ごした日々を伝えている。昭和10年(1935年)に菊池寛が創設した芥川賞・直木賞はその登竜門となった。私小説が主流だった大正から昭和にかけては、作家の暮らしや交友そのものが読者の関心事となり、文壇ゴシップという言葉も生まれている。戦後は出版の大規模化とマスメディアの発達によって閉鎖的な集団としての実体は薄れ、今日ではおおむね歴史的な呼称として使われる。