龍土会とは
- 分類
- 結社・団体
- 読み
- りゅうどかい
明治30年代後半、東京・麻布の西洋料理店「龍土軒」を定例の会場とした文学者たちの懇談会。国木田独歩・田山花袋・柳田国男らが会場を転々としながら開いていた会合が源流で、明治37年(1904年)ごろ龍土軒へ落ち着いてからその名で呼ばれた。柳田国男・田山花袋・国木田独歩・島崎藤村・徳田秋声・正宗白鳥・小栗風葉・川上眉山・小山内薫・蒲原有明・長谷川天渓ら、流派やジャンルを異にする文学者が広く顔を合わせたが、やがて自然主義系の作家が集う懇親の場へと色を強めた。『武蔵野』(明治31年)で清新な自然観照を示した独歩が短編集『独歩集』(明治38年)『運命』(明治39年)で評価を高め、島崎藤村が被差別部落出身の教師を描いた『破戒』(明治39年)、田山花袋が女弟子への恋慕を告白した『蒲団』(明治40年)を発表するなど、自然主義文学の記念碑的な作品が相次いで生まれた明治40年前後の気運を、この会が育てた意義は大きい。明治40年(1907年)ごろには、会員がイプセンを研究するイプセン会へと関心を広げ、やがて自然主義の文壇がそれぞれの雑誌を拠点とするようになるとともに、会は次第に開かれなくなっていった。