方丈記とは
- 分類
- 形式・ジャンル
- 読み
- ほうじょうき
鎌倉時代初めの建暦2年(1212年)、鴨長明が書いた随筆。「行く河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」の冒頭で、世のすべてが移ろいゆくことを川の流れと泡にたとえて語りはじめる。前半では、長明が若いころに見聞きした五つの災厄、すなわち安元の大火(1177年)、治承の辻風(1180年)、福原への遷都(1180年)、養和の飢饉(1181〜82年)、元暦の大地震(1185年)を、現場の様子まで克明に記す。後半では、出家して京の郊外の日野山に一丈四方(方丈)の庵を結び、質素な独り住まいを楽しむ暮らしを語り、最後には、その草庵への愛着も執着にほかならないのではないかと自らに問いかけて終わる。漢語を多く交えた和漢混淆文の簡潔で力強い文体で、『枕草子』『徒然草』とともに三大随筆とされ、中世の無常観を代表する作品である。長明は下鴨神社の神官の家に生まれ、歌人としても名高く、説話集『発心集』も編んだ。