いき(粋)とは
- 分類
- その他
- 読み
- いき
江戸の町人文化、とりわけ遊里に育った美意識。垢抜けしていて張りがあり、色っぽいさまをいい、野暮の対極に置かれる。哲学者・九鬼周造は昭和5年(1930年)、雑誌「思想」に発表し同年に岩波書店から刊行した『「いき」の構造』で、この日本語をヨーロッパの現象学の手法で分析した。九鬼によれば「いき」は、異性に向かう「媚態」を核として、意地を通す「意気地」と、恋の成り行きに執着しない「諦め」の三つの契機から成る。武士道が支えた意気地と、仏教的な諦念とが色っぽさに溶け合っている点に、この美意識の独自性を見たのである。上方でいう「粋(すい)」がこってりとした人情味を含むのに対し、江戸の「いき」は淡白で張りのある美とされる。九鬼は「いき」を、翻訳のきかない民族固有の意味体験として論じている。歌舞伎・浮世絵・小唄など江戸文化を読み解く鍵であり、永井荷風のように失われゆく江戸情緒を追い求めた近代の作家の感受性にも通じている。
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- 「いき」の構造 1930年(昭和5年)1月