遺稿・遺作・絶筆とは
- 分類
- その他
- 読み
- いこういさくぜっぴつ
作者の死と結びついた作品を言い分ける語。遺稿は、生前に発表されないまま死後に残された原稿をいう。遺作は、死後に発表された作品のほか、広く生前最後の作品の意味でも使われる。絶筆は、その人が生前に最後に書いた文章や書画をいい、書きかけのまま筆が途絶えた作品を指すことも多い。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』は生前に発表されず、草稿に手を入れ続けた遺稿で、没後の昭和9年(1934年)、文圃堂版の全集に収められて世に出た。同じ年に知られた『雨ニモマケズ』も、賢治が手帳に書きつけていた詩である。中島敦の『李陵』は、作者の没後の昭和18年(1943年)に『文學界』に遺稿として発表された。芥川龍之介の『或阿呆の一生』は、自殺の前に友人の久米正雄へ託され、没後に『改造』に載った。太宰治の『グッド・バイ』は、連載の途中で作者が世を去ったため中絶した絶筆で、夏目漱石の『明暗』も、朝日新聞への連載中に作者が亡くなり未完に終わった。遺稿は作者の最終的な手入れを経ていないため、遺族や友人、のちの研究者が原稿を整えて本文を定めることになり、編集のしかたによって本文や題名が異なる場合もある。