口承文芸・民話とは
- 分類
- 形式・ジャンル
- 読み
- こうしょうぶんげいみんわ
文字によらず、口から耳へと語り継がれ、歌い継がれてきた言葉の芸術の総称。日本でこの語を初めて用いたのは柳田国男で、フランス語の「littérature orale」にもとづき、昭和7年(1932年)の「口承文芸大意」で提唱し、のち『口承文芸史考』(昭和22年)にまとめた。日本の民俗学では、ものの名付け、新しい言葉、諺、謎、唱え言、民謡、童唄、語り物、昔話、伝説などがその範囲とされる。「文芸」はもともと文字で書かれたものを指すため、柳田自身もこの語には矛盾が含まれることを認めていた。これに対し民話は、英語の「folk tale」にあたる語で、民衆の間で語り伝えられてきた昔話や伝説などの説話をいう。関敬吾の『島原半島民話集』(昭和10年)が早い用例とされ、昔話を術語として立てようとした柳田はこの語を用いなかったが、戦後、木下順二が昔話に取材した民話劇『夕鶴』(昭和24年)を発表したころから広く使われるようになった。口承文芸の多くは、文字に書き留められることで文学と交わってきた。佐々木喜善が語った遠野の話を柳田が文語で記した『遠野物語』(明治43年)はその代表である。外国でも、グリム兄弟が聞き書きによって昔話集を編み、トルストイは民話の形を借りて『イワンの馬鹿』を書いた。