伝説とは
- 分類
- 形式・ジャンル
- 読み
- でんせつ
特定の土地や事物、歴史上の人物に結びつけて語り伝えられ、語り手やその周りの人々に、過去に実際にあったこととして信じられてきた話。口伝えの話という点では昔話と同じだが、昔話が時も所も定めず、「むかしむかし」のような決まった語り始めと結びをもつのに対し、伝説には決まった型がなく、長さも語り手によって伸び縮みする。そのかわり、話の証拠として、今も残る木や石、池、塚、寺社や地名が示されることが多い。神々による世界や国の始まりを語る神話とは、真実と信じられる点で通じ、古い起源をもつ話ほど両者の区別はつきにくくなる。グリム兄弟は「昔話は詩的であり、伝説は歴史的である」と述べた。日本では高木敏雄が『日本伝説集』(大正2年)で伝説を題材ごとに分類し、柳田国男は若い読者向けの『日本の伝説』(昭和4年)を書き、のちに『日本伝説名彙』で伝説を結びつく事物ごとに整理した。同じ話が伝説としても昔話としても伝わることがあり、浦島の話は『丹後国風土記』の逸文などに土地の伝えとして記される一方、楠山正雄が再話したような昔話としても親しまれている。岡本綺堂『玉藻の前』が九尾の狐の伝説に、折口信夫『信太妻の話』が葛の葉の伝説に取材したように、伝説は近代の文学の題材ともなった。