無政府主義(アナーキズム)とは
- 分類
- その他
- 読み
- むせいふしゅぎ
国家や政府をはじめ、あらゆる権力による支配を否定し、個人の自由と人々の自発的な協同にもとづく社会を目指す思想。アナーキズム(アナキズム)の訳語。19世紀フランスのプルードンがこの語を自らの立場として用い、ロシアのバクーニンがマルクス派と対立しながら運動を組織し、同じロシアのクロポトキンは相互扶助を軸に理論を体系化した。日本では、明治38〜39年(1905〜06年)に渡米した幸徳秋水が帰国後、議会政策を否定する直接行動論を唱えたことで、社会主義運動の中に広がった。大杉栄は明治40年(1907年)にクロポトキンの『青年に訴う』を『平民新聞』に訳載して入獄し、翌年の赤旗事件でも投獄される。大逆事件で幸徳らが処刑されると運動は「冬の時代」に入るが、大杉は大正元年(1912年)に荒畑寒村と雑誌『近代思想』を創刊し、評論『奴隷根性論』などで個人の自我の解放を説いた。『青鞜』で活躍した伊藤野枝は、アメリカの無政府主義者エマ・ゴールドマンの論文を訳して大正3年(1914年)に『婦人解放の悲劇』を刊行し、のちに大杉と生活をともにする。ロシア革命後にはボリシェヴィキ派との間でアナ・ボル論争が起きたが、大正12年(1923年)9月、関東大震災の混乱の中で大杉と野枝は憲兵に殺害された(甘粕事件)。隣人としてその最後の日々を見ていた内田魯庵は、回想『最後の大杉』を書き残している。