倭人伝(中国正史の倭国伝)とは

分類
形式・ジャンル
読み
わじんでん

中国の正史のなかで、日本列島の人々と国々について記した部分の通称。正史とは、王朝ごとに編まれた公式の歴史書をいい、『史記』に始まる紀伝体の形をとって、周辺の国や民族のことは列伝の「東夷伝」などにまとめて書かれた。倭についての古い記事には、後漢の班固の『漢書』地理志に、楽浪の海の向こうに倭人がいて百余りの国に分かれ、季節ごとに貢ぎ物を持って来るとする短い一節がある。まとまった記述として最も古いものの一つが、西晋の陳寿が3世紀の末に編んだ『三国志』の「魏書」東夷伝の倭人の条で、日本では「魏志倭人伝」と呼ばれる。帯方郡から邪馬台国に至る道のり、倭人の風俗や産物、女王卑弥呼と魏との通交を記し、邪馬台国の所在をめぐる議論の出発点となってきた。5世紀に南朝宋の范曄が編んだ『後漢書』は、扱う時代は『三国志』より前だが成立は後で、風俗の記述の多くを魏志に拠りつつ、建武中元2年(57年)に倭奴国が印綬を賜ったことなどを独自に伝える。沈約の『宋書』(488年に紀伝を奏上)は「倭の五王」の遣使と倭王武の上表文を、唐の魏徴らの『隋書』(636年)は、遣隋使がもたらした「日出づる処の天子」の国書を載せる。のちの『旧唐書』は「倭国伝」と「日本国伝」を並べ、『新唐書』からは「日本伝」となる。日本最古の正史『日本書紀』も、神功皇后の巻の注に「魏志」を引いており、中国の史書は早くから日本の歴史叙述と照らし合わされてきた。いずれも漢文で書かれた外国の記録であり、日本側の『古事記』『日本書紀』とは異なる視点から古代の列島を伝える点に価値がある。本アプリには、この4編を句読点付きの漢文で収録している。

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