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地球図(太宰治)のあらすじ・登場人物

宣教師シロオテと白石

  • 歴史

太宰治 1935年(昭和10年)12月 「新潮」

文字数
6,618字
読了目安
約13分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 鹿児島県
  • 東京都

この作品について

1935年(昭和10年)12月、雑誌「新潮」に発表された短編。江戸中期の宝永年間に屋久島に上陸したイタリア人宣教師シドッチ(作中ではヨワン・バッティスタ・シロオテ)と、これを訊問した新井白石との対話を、白石の『西洋紀聞』などに拠って描く歴史小説。簡潔で乾いた筆致で、世界の地理や宗教を語る宣教師と、冷静に聞き取る白石との隔たりが浮かび上がる。

あらすじ

ヨワン榎は、牢死した伴天連ヨワン・バッティスタ・シロオテの墓標である。ローマの名門に生まれたシロオテは、日本伝道の命を受け、三年かけて日本の風俗と言葉を学び、ルソンから日本へ向かった。宝永五年、屋久島に上陸したが、変装を見破られて捕らえられ、長崎の役人たちは言葉が通じず持て余して、江戸へ送った。江戸では新井白石が訊問に当たり、シロオテは世界地図を示しながら各国の珍しい話を語り、キリスト教の教えを説いた。白石は地理の知識に心を動かされたが、宗門の話には興味を示さず、将軍に三つの処置(本国送還、幽閉、死罪)を進言する。将軍は中策の幽閉を採り、シロオテは切支丹屋敷の牢に置かれたが、屋敷の下男夫婦に法を授けたとして折檻され、間もなく牢死した。

登場人物

冒頭部(原文より)

ヨワン榎は伴天連ヨワン・バッティスタ・シロオテの墓標である。切支丹屋敷の裏門をくぐってすぐ右手にそれがあった。いまから二百年ほどむかしに、シロオテはこの切支丹屋敷の牢のなかで死んだ。彼のしかばねは、屋敷の庭の片隅にうずめられ、ひとりの風流な奉行がそこに一本の榎を植えた。榎は根を張り枝をひろげた。としを経て大木になり、ヨワン榎とうたわれた。

「地球図」太宰治(青空文庫)

末尾部(原文より)

将軍は中策を採って、シロオテをそののち永く切支丹屋敷の獄舎につないで置いた。しかし、やがてシロオテは屋敷の奴婢、長助はる夫婦に法を授けたというわけで、たいへんいじめられた。シロオテは折檻されながらも、日夜、長助はるの名を呼び、その信を固くして死ぬるとも志を変えるでない、と大きな声で叫んでいた。  それから間もなく牢死した。下策をもちいたもおなじことであった。

「地球図」太宰治(青空文庫)

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