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ふるさと(島崎藤村)のあらすじ・登場人物

父さんが語る木曾馬籠の幼い日

  • 家族

島崎藤村 1920年(大正9年)12月 「書き下ろし」

文字数
42,917字
読了目安
約1時間26分
表記
旧字旧仮名
舞台
  • 岐阜県
  • 長野県

この作品について

島崎藤村が1920年(大正9年)12月に実業之日本社から刊行した少年読本。フランスから帰国した父が子どもたちに旅の話を聞かせた『幼きものに』の姉妹編で、「父さん」が太郎や次郎に向けて、自分の生まれた木曾の馬籠での幼い日々を語り聞かせる形をとる。正月の餅つき、水に不自由な峠の村の清水、手づくりの凧、祖父母や奉公人たちとの暮らし、梨や柿の木、鳥や獣を友とした遊びなどを、70の短い章に分けてやさしい語り口で綴る。馬や木が父さんに話しかける場面もあり、旧字旧仮名で書かれている。巻末には兄弟の言い争いを描いた小話が添えられている。のちに『夜明け前』で描かれる馬籠の土地柄を、子どもの目の高さから伝える一冊である。

あらすじ

父さんは太郎や次郎に、自分が生まれた木曾街道の馬籠峠の村での幼い日々を語る。雀のおやどの話に始まり、正月を迎える餅つき、荷物を運んで夕方に帰る馬と馬方、遠い山に燃える狐火、水に不自由な村で峠から引いた清水や深い井戸、自分で作った凧、雪の日の遊び、庄吉爺さんや奉公人のお雛、永昌寺やお茶をつくる家、梨や柿の木、鳥や獣の友達、木曾の蠅や蚋、御嶽参り、ふるさとの言葉、蜂の子とり、炉辺や炬燵の冬の夜などを、短い話に分けて次々に語っていく。九つの秋、父さんは祖父の言いつけで、三つ年上の友伯父さんとともに東京へ学問の修業に出ることになる。祖母は羽織や帯を織り、祖父は教訓を書いた短冊をはなむけにくれ、お雛の父の家では茄子の味噌汁をごちそうになる。旅立ちの日、桐の木や梨の木、峠の馬に見送られ、伯父さんに連れられて木曾路を下り、妻籠に泊まり、木曽川や寝覚の床を眺め、沓掛の温泉宿を経て、乗合馬車で上州から東京へ向かう。父さんは、ふるさとで飲んだ乳の味は今も自分の中に変わらずにあると語り、太郎や次郎に、大きくなったら父さんの田舎を訪ねてほしいと結ぶ。

登場人物

冒頭部(原文より)

   はしがき 父さんが遠い外國の方から歸つた時、太郎や次郎への土産話にと思ひまして、いろ/\な旅のお話をまとめたのが、父さんの『幼きものに』でした。あの時、太郎はやうやく十三歳、次郎は十一歳でした。 早いものですね。あの本を作つた時から、もう三年の月日がたちます。太郎は十六歳、次郎は十四歳にもなります。父さんの家には、今、太郎に、次郎に、末子の三人が居ます。末子は母さんが亡くなると間もなく常陸の方の乳母の家に預けられて、七年もその乳母のところに居ましたが、今では父さんの家の方へ歸つて來て居ます。三郎はもう長いこと信州木曾の小父さんの家に養はれて居まして、兄の太郎や次郎のところへ時々お手紙なぞをよこすやうになりました。三郎はことし十三歳、末子がもう十一歳にもなりますよ。 父さんの家ではよく三郎の噂をします。三郎が居る木曾の方の話もよく出ます。あの木曾の山の中が父さんの生れたところなんですから。

「ふるさと」島崎藤村(青空文庫)

末尾部(原文より)

   七〇 終の話 こんな風にして父さんは自分の生れたふるさとを幼少な時分に出て來たものです。それから長い年月の間を置いては、木曾へ歸つて見ますと、その度にあの山の中も變つて居ました。しかし父さんの子供の時分に飮んだふるさとのお乳の味は父さんの中に變らずにありますよ。 太郎よ、次郎よ、お前達も大きくなつたら父さんの田舍を訪ねて見て下さい。

「ふるさと」島崎藤村(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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