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捨児(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

捨て子が語る母の嘘

  • 家族
  • 心理

芥川龍之介 1920年(大正9年)7月 「新潮」

文字数
4,696字
読了目安
約9分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都
  • 神奈川県

この作品について

浅草の寺の門前に捨てられた子の身の上を、ある客が「私」に語る短編。捨児を拾った豪放な和尚、五年後に母と名乗って現れた女、そして語り手自身に関わる意外な事実が、順に明かされる。語りの二重構造と、結末の静かな余韻が印象的。

あらすじ

客が「私」に語る。明治二十二年の秋、浅草の信行寺の門前に男の子が捨てられていた。住職の日錚和尚は、これを勇之助と名づけて、わが子のように育てる。五年後、品のよい女が母だと名乗って現れ、夫の米屋が株で破産し、横浜へ落ちる晩に赤子を捨てたこと、その後夫と次男を亡くし、長男を探しに来たことを語る。和尚の説教に感じ入った女は、勇之助を連れて横浜へ帰った。話を終えた客は、その捨児が自分だと明かす。そして、母はほんとうの母ではなかったと続ける。母の隣家の人から、母は田原町にいたころ女の子を産み、三月で亡くしていたと知ったのだ。母が捨児の嘘をついたのは、説教に心を動かされ、知らない母の役を務めたくなったからではないか、と客は考える。彼はそれを母に告げず、以前よりも一層母をなつかしく思うようになったという。

登場人物

冒頭部(原文より)

「浅草の永住町に、信行寺と云う寺がありますが、――いえ、大きな寺じゃありません。ただ日朗上人の御木像があるとか云う、相応に由緒のある寺だそうです。その寺の門前に、明治二十二年の秋、男の子が一人捨ててありました。

「捨児」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

「前よりも一層なつかしく思うようになったのです。その秘密を知って以来、母は捨児の私には、母以上の人間になりましたから。」  客はしんみりと返事をした。あたかも彼自身子以上の人間だった事も知らないように。

「捨児」芥川龍之介(青空文庫)

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