神神の微笑(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
何もかも作り変える日本の力
- 幻想
- 歴史
- 文字数
- 8,897字
- 読了目安
- 約18分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
切支丹物にして、日本という風土の「作り変える力」を主題にした思想的な短編。南蛮寺の伴天連オルガンティノの前に、日本の古い神々を体現する一人の老人の霊が現れ、渡来した泥烏須(デウス)の教えも、いずれこの国の風土に同化され、変えられてしまうだろうと予言する。外来のものをことごとく作り替えてしまう日本文化の同化力を「神々の微笑」として描いた作品で、芥川の文明・文化論としても注目される。
あらすじ
布教のために日本へ渡った南蛮寺の伴天連オルガンティノは、春の夕、寺の庭を歩きながら、望郷の念と手応えのなさに沈んでいた。日本人は容易に切支丹に改宗するものの、その信仰はどこか彼の望むものと違う。庭で祈っていると、夢とも現ともつかぬうちに、日本の古い神々を体現する一人の霊が、老人の姿となって現れる。老人はオルガンティノに向かい、この国には天照大神をはじめとする「我々の力」が満ちており、大陸から渡来した儒教も仏教も、みなこの風土に取り込まれ、日本流に作り変えられてきたのだと語る。泥烏須の教えとて例外ではなく、やがてこの国の神々の力によって、その姿を変えられるだろう、と。「我々は木々の中にもいます。浅い水の流れにもいます……どこにでも、またいつでもいます。御気をつけなさい」——そう言い残して、老人の姿は夕闇に消える。塔からはアヴェ・マリアの鐘が響くが、外来の信仰と土着の神々、いずれが勝つのかは、なお定かではないのだった。
登場人物
- オルガンティノ 南蛮寺の伴天連(宣教師)。布教の手応えのなさと望郷の念に沈む
- 老人(日本の神々の霊) 日本の風土の同化力を体現し、渡来の宗教もやがて作り変えられると予言する
冒頭部(原文より)
ある春の夕、Padre Organtino はたった一人、長いアビト(法衣)の裾を引きながら、南蛮寺の庭を歩いていた。
「神神の微笑」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
それまでは、――さようなら。パアドレ・オルガンティノ! さようなら。南蛮寺のウルガン伴天連!
「神神の微笑」芥川龍之介(青空文庫)
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