エロ・グロ・ナンセンスとは

分類
その他
読み
えろぐろなんせんす

昭和初期の都市の大衆文化を彩った、扇情的な性の表現(エロ)、異様で猟奇的なもの(グロ)、たわいない滑稽さ(ナンセンス)を好む風潮。英語のerotic、grotesque、nonsenseからつくられた和製の語で、それまでの「エロ・グロ」に「ナンセンス」が加わり、昭和5年(1930年)ごろから流行語となった。昭和4年(1929年)に始まる世界恐慌の不況と社会不安のなかで、カフェーやレビュー、浅草の軽演劇、軟派の出版物や雑誌がこうした刺激を競い、梅原北明らの出版物はたびたび発売禁止の処分を受けた。文学では、江戸川乱歩の『陰獣』(昭和3年)が猟奇ブームのきっかけとなったとされ、乱歩の『押絵と旅する男』『孤島の鬼』や、雑誌「猟奇」に発表された夢野久作の『瓶詰地獄』(昭和3年)など、「新青年」を中心とする変格探偵小説の妖しい作品群が、この時代の空気と響き合っている。川端康成の『浅草紅団』のように、浅草の盛り場の風俗を描いたモダニズムの小説もある。満州事変の後、思想や風俗の取り締まりが強まるにつれ、この風潮は1930年代の半ばには衰えていった。

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