安吾の新日本地理01 安吾・伊勢神宮にゆく(坂口安吾)のあらすじ・登場人物
元日の空から伊勢へ
- 歴史
- 文字数
- 14,150字
- 読了目安
- 約28分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
- 舞台
- 三重県
この作品について
1951年(昭和26年)3月号の「文藝春秋」に載った、紀行連載「安吾の新日本地理」の第1回。元日の試験飛行で飛行機に乗った話から始まり、伊勢神宮の早朝参拝、猿田彦や蘇民将来の護符をめぐる古代史の推理、志摩の海女や松阪牛の見聞までを、軽快な口調で記す。歴史を現場で推理し、小説に作り替えていく安吾の紀行の特徴がよく出ている。
あらすじ
元日に読売新聞の試験飛行でDC4型機に乗った安吾は、翌日から伊勢へ旅立つ。宇治山田の旅館に泊まり、未明の雪の宇治橋を渡って神宮に参拝する。そこから話は古代史の推理に入り、天孫降臨の道案内をした猿田彦を、五十鈴川上のギャングの親分のように見立てる。安吾は、猿田彦がいち早く朝廷に帰順したために民衆の人気を失い、神話のなかでピエロにされたのではないかと考え、その点で伊勢を征服者と被征服者の悲劇の地と見る。民家の入口に掲げられた「蘇民将来子孫」の札にも注目し、この地方に天皇家以前の信仰が残っているのではと推測する。旅の後半では、志摩の海女、御木本の真珠、松阪の和田金の牛肉を訪ね、牛肉は神秘的というほどではないがうまかったと書く。
冒頭部(原文より)
この元日に飛行機にのった。三月ごろから内地に航空路ができるについて読売新聞で試験飛行をやった。それに乗ったのである。ノースウエスト航空会社のDC四型という四発機。四千五百メートルぐらいの高度で大阪まで往復したのだが、戦前までの航空旅行の概念とはよほど違っている。
「安吾の新日本地理01 安吾・伊勢神宮にゆく」坂口安吾(青空文庫)
末尾部(原文より)
たまさかに、武塔神のように荒々しい豪傑が南海の女のもとに夜ばいにくることはあっても、彼らの受けた侵略はその程度のもので、古代から今に海人たる生業を根強く伝承しているように思われる。南海の果の聚落で、どうして一泊しなかったのか、思えば残念でたまらない。
「安吾の新日本地理01 安吾・伊勢神宮にゆく」坂口安吾(青空文庫)
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