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明治開化 安吾捕物 その八 時計館の秘密(坂口安吾)のあらすじ・登場人物

小心者の洋館から三人が消える

  • ミステリ
  • 歴史

坂口安吾 1951年(昭和26年)6月 「小説新潮」

文字数
21,134字
読了目安
約42分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 宮城県
  • 東京都

この作品について

坂口安吾の連作探偵小説「明治開化 安吾捕物」の第八話で、1951年(昭和26年)6月の「小説新潮」に掲載された。気弱な御家人梶原正二郎は、悪友に引きずられて上野の彰義隊に加わり、身重の妻を江戸に残したまま奥州塩竈まで落ちのびる。造り酒屋の婿に収まったものの、待っていたのは冷たい扱いと、義父の不審な死だった。やがて運漕業で財をなし、東京に「時計館」と呼ばれる洋館を構えた彼のもとへ、過去の縁がつぎつぎに押し寄せる。戊辰戦争から明治の貧民窟までを背景に、一人の小心者の数奇な半生をたどる人情味の濃い一編。

あらすじ

父の野辺の送りの晩、二十二歳の御家人梶原正二郎は、愚連隊まがいの望月彦太らに無理やり上野寛永寺の戦に連れ出され、身重の妻お久美を残して奥州へ落ちのびる。塩竈で造り酒屋「松嵐」の娘お米の婿に収まるが、お米は名うての淫奔娘で、正二郎は下男同然に扱われた。やがて義父の清作が妾宅でフグの毒にあたって死に、妾が処刑されるが、正二郎は前夜に船頭宮吉がフグをさばくのを見ていた。恩人の船主兵頭一力の助けで米の運漕に乗り出した正二郎は大成功し、東京に時計館と呼ばれる洋館を建てる。そこへ迎えた妾の駒子が、彦太とお久美の間にできた娘で、お久美は盲目となって鮫河橋の貧民窟に暮らしていると知る。財産を失ったお米と母お源が旅絵師花亭まで連れて時計館に居座ると、正二郎は追い出すため、お久美と実の娘お園を探し出して本妻として迎えようとする。ところがその夜、お米、お源、花亭の三人が屋敷から消え失せた。三か月後に乗り出した新十郎は、勝海舟が正二郎を下手人と見立てたのに対し、小心な彼には三人も殺せないと笑う。会社の帳簿を調べた新十郎は、上京中の一力を訪ね、翌日塩竈へ送られた石油缶のうち三本に死体が詰められていたことを確かめる。一力は、初めて幸福をつかんだ友のために手を下し、銚子沖に沈めたと認めた。新十郎は犯人を知りたかっただけだと言い残し、一力を残して立ち去る。

登場人物

冒頭部(原文より)

 生れつき大そう間のわるい人間というものがいるものだ。梶原正二郎という若い御家人がそれだった。そのとき彼は二十二だ。親父が死んで野辺の送りをすませたという晩に、

「明治開化 安吾捕物 その八 時計館の秘密」坂口安吾(青空文庫)

末尾部(原文より)

 こう云うと、呆気にとられている一力を残して、新十郎はスタスタ立去ってしまった。

「明治開化 安吾捕物 その八 時計館の秘密」坂口安吾(青空文庫)

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