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明治開化 安吾捕物 その九 覆面屋敷(坂口安吾)のあらすじ・登場人物

覆面の祖父と座敷牢の跡継ぎ

  • ミステリ
  • 歴史

坂口安吾 1951年(昭和26年)7月 「小説新潮」

文字数
26,820字
読了目安
約54分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 長野県
  • 東京都

この作品について

坂口安吾の連作探偵小説「明治開化 安吾捕物」の第九話で、1951年(昭和26年)7月の「小説新潮」に掲載された。八ヶ岳山麓に神代から続くという旧家多久家では、族長の老当主が黒い覆面をつけて人前に出る。跡継ぎの孫風守は、人を見ると発作を起こす奇病のため覆面で顔を隠し、座敷牢に閉じこめられて誰とも会わない。東京の別邸に移った一家の娘光子は、「母なき子あわれ」という従姉の言葉から、兄の幽閉に家督をめぐる陰謀があるのではと疑いはじめる。古い氏族の掟と秘密が生む悲劇を、少女の目を通して描く一編。

あらすじ

八ヶ岳山麓の名門多久家の当主駒守は八十三歳の豪傑で、長男の死後、末子土彦に生まれた風守を本家の跡継ぎに選んだ。だが風守は人を見ると発作を起こす「人デンカン」で、覆面をかぶり座敷牢に暮らし、会えるのは菩提寺の息子英信ただ一人。母は自害したと噂され、駒守もまた孫を哀れんで覆面をつけている。一家が小石川の別邸に移って六年、土彦の後妻の娘光子は、従姉の一枝から「母なき子あわれ」とささやかれ、弟文彦を跡継ぎにするために兄が閉じこめられているのではと疑う。英信は光子に、風守は遠からず死ぬと告げ、「生きているのはやさしいが、死ぬのはむずかしい」とつぶやいた。風守の誕生祝いの夜、分家の木々彦がコックリさんの真似事をすると「きょうしぬ」の文字が出る。英信は否定して席を立ったが、やがて取り乱して戻り、その直後に別館が燃え上がる。炎の中には覆面の駒守が仁王立ちになっており、焼け跡からは二つの遺体が見つかった。その夜から木々彦が行方知れずとなり、新十郎が八ヶ岳まで調べに乗り出す。勝海舟は、風守の病は別の業病を隠すための作り話と見立てたが、新十郎は風守の詩文の筆跡が英信のものと同じだと突きとめる。風守とは、跡継ぎの空白を埋めるために作られた架空の人物で、覆面の風守を演じていたのは英信だった。英信の遺書によれば、遊学を焦った彼は、忍び込んだ木々彦を座敷牢に閉じこめ、それを知った駒守が自ら火を放ったのである。

登場人物

冒頭部(原文より)

 光子は一枝の言葉が頭にからみついて放れなかった。 「ちょっとでよいから、のぞかせてよ。風守さまのお部屋を」 「ダメ。お部屋どころか、別館の近くへ立寄ってもいけないのよ」

「明治開化 安吾捕物 その九 覆面屋敷」坂口安吾(青空文庫)

末尾部(原文より)

 虎之介は内々気をわるくしてうなだれたが、なんとなく図星のようで、イヤな気持もするのであった。

「明治開化 安吾捕物 その九 覆面屋敷」坂口安吾(青空文庫)

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