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明治開化 安吾捕物 その十一 稲妻は見たり(坂口安吾)のあらすじ・登場人物

雷雨の夜の皿屋敷

  • ミステリ
  • 歴史

坂口安吾 1951年(昭和26年)9月 「小説新潮」

文字数
26,240字
読了目安
約52分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

坂口安吾の連作探偵小説「明治開化 安吾捕物」の第十一話で、1951年(昭和26年)9月の「小説新潮」に掲載された。冒頭、作者自身の知人の「雷嫌い」の話から語り起こされる。家族が帰省で留守の本郷駒込の役人邸で、大雷雨の夜、召使いのうち三人は雷を恐れて布団をかぶったまま。ただ一人起きていた若い女中が、主人の秘蔵の陶磁器を割ったまま姿を消し、裏庭の井戸に何かが落ちる音がした――まるで「番町皿屋敷」の再来である。女中の兄で、貧しい人々のために身をささげる苦学生と、熱心な若い巡査が真相を追う。

あらすじ

明治の八月十八日、家族が九州へ墓参に出た母里大学邸には、大学生の長男由也と四人の召使いだけが残っていた。その夜は長い大雷雨となり、雷嫌いの馬丁当吉夫婦と女中オソノは布団をかぶって震え、女中三枝子だけが起きて、帰宅した由也の呼ぶ手の音に立っていった。三枝子はそのまま戻らず、夜中に裏庭の井戸で大きな水音がした。翌朝、玄関には泥の足跡と吐いた跡があり、座敷では主人秘蔵の青磁と柿右衛門の皿が割れていた。由也は、三枝子が割って泣いていたと言う。皿屋敷を思わせる騒ぎに警官が井戸をさらったが、死体は出てこない。三枝子の兄で貧民の救済に尽くす大学生頼重太郎は、若い遠山巡査とともに調べを進める。押し入れからは別の泥だらけの布団と、由也の友人時田の眼鏡が見つかり、雷光の中で井戸から離れる二人の男を見たという証言も出る。やがて由也が家の宝を質に入れて芸者遊びをしていたこと、料亭で娘と忍び会っていたらしいことがわかり、重太郎は妹を疑って打ちひしがれ、新十郎を頼る。新十郎は二人に調べ直させ、時田から事情を打ち明けた手紙を受け取ると、埋め戻された井戸を掘らせて三枝子の死体を見つけ出す。泥酔した時田に、自分が三枝子を絞め殺したと思い込ませて金をゆすり、警官がいったん調べた井戸に死体を隠したのは由也であった。

登場人物

冒頭部(原文より)

 雷ギライという人種がある。まア人間は普通カミナリがキライのようだが、特別キライという人種があって、私の知人にもカミナリがキライで疎開このかた伊東の地に住みついてしまった人がある。伊東は年に四、五回、遠雷がかすかにカミナリのマネをしてみせる程度で、片道三時間の通勤は不便だが、ヘソをぬかれる心配のない平和に替えられないと彼は云っている。

「明治開化 安吾捕物 その十一 稲妻は見たり」坂口安吾(青空文庫)

末尾部(原文より)

 海舟は平気な顔で、 「悪度胸の一言が似ればタクサンだ。それが全部のカナメだよ。それで全部解きつくしているのだが、バカには分らねえや」  虎之介は分らないことに満足した。

「明治開化 安吾捕物 その十一 稲妻は見たり」坂口安吾(青空文庫)

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