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明治開化 安吾捕物 その十六 家族は六人・目一ツ半(坂口安吾)のあらすじ・登場人物

目一つ半の家の隠し金

  • ミステリ
  • 歴史

坂口安吾 1952年(昭和27年)4月 「小説新潮」

文字数
21,745字
読了目安
約43分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

坂口安吾の連作探偵小説「明治開化 安吾捕物」の第十六話で、1952年(昭和27年)4月の「小説新潮」に掲載された。舞台は日本橋人形町の按摩宿。按摩の師匠と、その株を買ってやった片目の女房、片目だけ見える養女、目の見えない三人の弟子――六人の家族に目は合わせて一つ半しかない。金にきびしい女房が、隠していた金ともども夜中に殺される。江戸から明治へと移り変わる按摩稼業の内幕を、軽妙な語りで描く一編。作中には当時の差別的な呼び方がそのまま使われている。

あらすじ

人形町の按摩宿サガミ屋は、目の見えない師匠銀一と、その株を買ってやった片目の女房オカネ、片目だけ見える養女お志乃、それに目の見えない弟子の角平・弁内・稲吉の六人暮らし。オカネは金に細かい因業婆さんで、お志乃に旦那を取らせて稼がせていた。お志乃はオカネの甥の松之助と忍び合う仲で、弟子たちはそれぞれ婿の座をうかがっている。ある晩近所で火事があり、オカネは慌てて畳を上げ、弟子に庭へ穴を掘れとわめいた。十日あまり後、皆が仕事に出払った夜、晩酌をして寝たオカネが絞め殺され、部屋の真ん中の畳と根太板が一枚残らず外されて、床下の壺の中身が消えていた。弁内は商人宿の足利の客に、角平は医者の妙庵に、稲吉は待合に、お志乃は旦那の隠居のもとに、銀一は警察署長の官舎にと、全員の居場所ははっきりしていた。新十郎は火事の夜に畳を上げる音を誰が聞いたかを確かめ、妙庵の代診仙友が、按摩に先生をまかせて抜け出し酒を飲みに出る習慣を知る。勝海舟は、火事見舞いを口実に隠し場所を知った足利の仁助の犯行と見立てた。だが新十郎は角平の肌から札束を見つけ出す。明かりを使わず、根太を全部外し、暗がりで手探りしたような整然とした跡は、目の見えない者の仕事を示していた。角平は火事の夜に耳で隠し場所を知り、眠りこんだ妙庵を按摩の途中で抜け出してオカネを殺していたのである。

登場人物

冒頭部(原文より)

「ねえ、旦那。足利にゃア、ロクなアンマがいないでしょう。私ゃ足利のアンマになってもいいんですがね。連れてッてくれねえかなア。足利の師匠のウチへ住み込みでも結構でさア。どうも、東京を食いつめちゃったよ」  足利の織物商人仁助の肩をもみながら、アンマの弁内が卑しそうな声で云う。  めッぽう力の強いアンマで、並のアンマを受けつけない仁助の肩の凝りがこのメクラの馬力にかかると気持よくほぐれる。馬のような鼻息をたてて一時間あまりも力をぬかない仕事熱心なところは結構であるが、カタワのヒガミや一徹で何を仕でかすか知れないような不気味なところが気にかかる。

「明治開化 安吾捕物 その十六 家族は六人・目一ツ半」坂口安吾(青空文庫)

末尾部(原文より)

「余計なことだ」  海舟はつまらなそうに呟いた。

「明治開化 安吾捕物 その十六 家族は六人・目一ツ半」坂口安吾(青空文庫)

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