カルメン(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
楽屋の外の露西亜カルメン
- 恋愛
- 心理
- 文字数
- 1,902字
- 読了目安
- 約4分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 東京都
この作品について
芥川龍之介の掌編。ロシアのグランド・オペラの一座が帝国劇場にかかったころの思い出を、「僕」が友人T君と交わした会話をまじえて語る。カルメン役の女優をめぐる噂と、舞台の外で起こった出来事が、歌劇『カルメン』の筋と響き合うように置かれている。「文藝春秋」1926(大正15)年7月号に発表。千九百字ほどの小品。
あらすじ
ある蒸し暑い雨もよいの夜、「僕」は舞台監督のT君と帝劇のボックスにいた。ロシア・オペラの一座の「カルメン」が上演される晩で、「僕」はカルメン役の女優イイナ・ブルスカアヤに夢中になっていたが、幕が上がると舞台に立ったのは別の貧相な女優だった。T君によると、イイナは今夜は休みで、その原因は頗るロマンティックだという。旧帝国の侯爵が彼女を追って東京まで来たところ、イイナはすでにアメリカ人の商人の世話になっており、絶望した侯爵はホテルで首を縊って死んだのだった。「僕」は、夜更けのホテルでトランプ占いをしていたイイナの姿を思い出す。ところが次の幕になると、そのイイナが外国人たちと向かいのボックスへ現れる。二人は最後の幕まで、舞台よりもイイナを眺めていた。二、三日後、レストランで向き合ったT君は、その夜イイナがホテルへ帰ってから何をしたかを話し出す。
冒頭部(原文より)
革命前だったか、革命後だったか、――いや、あれは革命前ではない。なぜまた革命前ではないかと言えば、僕は当時小耳に挟んだダンチェンコの洒落を覚えているからである。 ある蒸し暑い雨もよいの夜、舞台監督のT君は、帝劇の露台に佇みながら、炭酸水のコップを片手に詩人のダンチェンコと話していた。あの亜麻色の髪の毛をした盲目詩人のダンチェンコとである。
「カルメン」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
「皿を壁へ叩きつけてね、そのまた欠片をカスタネットの代りにしてね、指から血の出るのもかまわずにね、……」 「カルメンのように踊ったのかい?」 そこへ僕等の興奮とは全然つり合わない顔をした、頭の白い給仕が一人、静に鮭の皿を運んで来た。……
「カルメン」芥川龍之介(青空文庫)
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