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地底戦車の怪人(海野十三)のあらすじ・登場人物

黄いろい幽霊が戦車を奪う

  • SF
  • 冒険

海野十三 1940年(昭和15年)2月 「ラヂオ子供の時間」

文字数
54,970字
読了目安
約1時間50分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

1940年(昭和15年)2月からラジオ番組「ラヂオ子供の時間」で「地底戦車兵の冒険」の題で語られた、海野十三の少年向け空想科学冒険小説。物語は10年後の1950年、南極に基地を築こうとするアメリカ軍と日本の科学者たちの攻防を描く。地中や海底を進む地底戦車、姿の見えない「黄いろい幽霊」など、奇想に満ちた趣向でラジオの聴き手を引きつけた。

あらすじ

1950年、アメリカの貨物船アーク号は吹雪の中、南極の新フリスコ港をめざしていた。船にはリント少将が待ちわびる秘密兵器、地底戦車が積まれている。ところが船は氷山にぶつかり沈没の危機に陥り、戦車隊員のパイ軍曹やピート一等兵らは、戦車に乗りこんで海中へ逃れる。その車内に、どこからともなく現れる「黄いろい幽霊」。幽霊は戦車の指揮を奪い、隊員たちを翻弄しながら地底を進んでいく。やがて幽霊の正体は日本の若者だとわかり、囚われたリント少将は、思いもよらぬ場所へと連れていかれる。

登場人物

冒頭部(原文より)

この物語は、西暦一千九百五十年に、はじまる。 すると、昭和の年号でいって、昭和二十五年にあたるわけである。 今年は、昭和十五年だから今から、丁度十年後のことだ、と思っていただきたい。 作者しるす 極南へ  アメリカの貨物船アーク号は、大難航をつづけていた。  船は、あと一日で、目的の極地へつくはずになっていたが、あいにく今になって、猛烈な吹雪に見舞われ、船脚は、急にがたりとおちてしまった。この分では、とても、あと一日で、めざす極地の新フリスコ港に入るのはむずかしくなった。

「地底戦車の怪人」海野十三(青空文庫)

末尾部(原文より)

 と、リント少将は、氷上に翼をやすめている飛行機の群を発見して、おどろきの声をあげた。 「いや、別におどろかれることは、ありますまい。ここは、わが大日本帝国の領土であるがゆえに、飛行機がいても、ふしぎではないのではありませんか。わが日本人は今や、世界第一の飛行機乗りになったのです。内地から、こんなところへ飛んでくるのは、なんでもありません。丁度地底戦車については、貴国が世界一であるのと、似たようなものです。では、少将閣下、大和雪原の日章旗をどうぞお忘れなきように、そしてここで活躍をはじめようとする日本人たちを妨害なさらぬように、私から、とくにお願いいたします。さっきもありましたが、日本機が、弾丸を一発もうたないのに、アメリカ機が、機銃をうって、挑戦してくるなどということは、もうおやめください。そっちの御損ですからね」 「うーむ」 「では、この地底戦車によって、閣下を、再び司令部のあるテント村へお連れいたしましょう。永々、この地底戦車をお借りしていまして、どうもありがとうございました」  沖島速夫は、そういってリント少将に対して、いんぎんに礼をのべたのであった。

「地底戦車の怪人」海野十三(青空文庫)

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