千年後の世界(海野十三)のあらすじ・登場人物
千年の眠りから覚めた男が見たもの
- SF
- 文字数
- 7,475字
- 読了目安
- 約15分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
冷凍睡眠から千年後に目覚めた科学者フルハタが見た未来社会——日本SFの先駆者・海野十三が描いた、コールドスリープと宇宙戦争の物語。金星移民、火星生物との戦いなど、奇想に満ちた展開を見せる。
あらすじ
若き野心にみちた科学者フルハタは、モリブデン合金でつくった五重の棺のなかで目覚めてから、もう七日になる。棺といっても十畳ほどの広さがあり、ベッドも冷凍機械も発電機も参考文献も揃った、研究室と書斎の罐詰のようなものである。フルハタはこの中で、一千年余の冷凍睡眠をへたのだ。だが誰も棺の蓋を叩きに来ない。やがて彼はようやく外へ出され、千年後の世界を目にする。そこは想像を絶する科学技術の世界だった。案内役となったチタ教授をはじめとする未来人たちに、フルハタは次々と質問を浴びせる。人類は何を成し遂げたのか、病気は克服されたのか、そして戦争はなくなったのか。「戦争はありますわ」——チタ教授はそう答えた。フルハタには、それがどういう意味なのか分からない。理由を尋ねた彼に、教授は今までにない険しい目を向けて言う。いま地球の人類は火星の生物と戦争しているのだ、と。金星移民を計画したとたんに火星生物が妨害を始め、移民ロケットの九十三パーセントが破られて人類は惨殺されている。もっと早く宇宙戦争に備えておくべきだった。「地球上の人類だけがこの広大なる宇宙でいちばんかしこい生物だと思っていたのが、たいへんな自惚れなんですからね」。
登場人物
- フルハタ 千年の冷凍睡眠から目覚めた科学者
- チタ教授 未来世界でフルハタを案内する
冒頭部(原文より)
冷凍死 若き野心にみちた科学者フルハタは、棺の中に目ざめてから、もう七日になる。 「どうしたのかなあ。もう棺の蓋を、こつこつと叩く者があってもいいはずだ」 彼は、ひたすら棺の外からノックする音をまちわびている。
「千年後の世界」海野十三(青空文庫)
末尾部(原文より)
「あなたも古いだけあって頭脳がわるいのね。いま地球の人類は、火星の生物と戦争しているのじゃありませんか。……いや、人類はもっと早く宇宙戦争に対して準備をすすめておくべきだったと思いますわ。地球上の人類だけがこの広大なる宇宙でいちばんかしこい生物だと思っていたのが、たいへんな自惚れなんですからね」
「千年後の世界」海野十三(青空文庫)
原文を読む
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