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グスコーブドリの伝記(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

冷害の国で育つ少年の伝記

  • 幻想
  • SF

宮沢賢治 1932年(昭和7年)3月 「児童文学」

文字数
25,308字
読了目安
約51分
表記
新字新仮名

この作品について

宮沢賢治の童話。1932年(昭和7)3月、雑誌『児童文学』第二冊に発表された。賢治の生前に活字になった数少ない作品の一つである。理想郷イーハトーヴの森に生まれた少年グスコーブドリを主人公に、冷害や飢饉がたびたび人々を苦しめる世界で、彼が学問を身につけ、火山局の技師として働くようになるまでを追う。自然の脅威と科学技術、そして人が人のために働くことを描き、賢治の思想が色濃く表れた作品として知られる。

あらすじ

グスコーブドリは、イーハトーヴの大きな森で、木こりの父と母、妹のネリとともに暮らしていた。ところがある年、ひどい冷害による大凶作が森を襲い、飢えのなかで父と母は「森へ行く」と言い残して姿を消し、幼いブドリとネリだけが残される。やがてネリも見知らぬ男にさらわれ、天涯孤独となったブドリは、てぐす飼いの男のもとで働き、沼ばたけの赤ひげの農夫のもとで泥や肥料と格闘しながら、独学で学問への意欲を育てていく。都会のイーハトーヴ市に出た彼は、尊敬するクーボー大博士の紹介で火山局の技師となり、火山の噴火を制御して人々の暮らしを守る仕事に打ち込む。潮汐発電所の建設や、雨とともに窒素肥料を降らせる仕事など、科学の力で大地を豊かにしていくブドリだったが、あるとき、かつて自分の家族を奪ったのと同じ冷害が、再びイーハトーヴを襲おうとしていることを知る。カルボナード火山島を人工的に噴火させれば、大気中の炭酸ガスが増えて気温が上がり、冷害を防げる——だが、その作業には最後に一人が島に残って噴火の犠牲にならねばならない。ブドリは年長の技師たちの制止を退け、自らその役目を引き受ける。彼の犠牲によって気候はよみがえり、その年の作物は実って、かつての彼の家族のような多くの親子が、暖かい冬を楽しく過ごすことができたのだった。

登場人物

冒頭部(原文より)

グスコーブドリは、イーハトーヴの大きな森のなかに生まれました。おとうさんは、グスコーナドリという名高い木こりで、どんな大きな木でも、まるで赤ん坊を寝かしつけるようにわけなく切ってしまう人でした。

「グスコーブドリの伝記」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

けれどもそれから三四日たちますと、気候はぐんぐん暖かくなってきて、その秋はほぼ普通の作柄になりました。そしてちょうど、このお話のはじまりのようになるはずの、たくさんのブドリのおとうさんやおかあさんは、たくさんのブドリやネリといっしょに、その冬を暖かいたべものと、明るい薪で楽しく暮らすことができたのでした。

「グスコーブドリの伝記」宮沢賢治(青空文庫)

名文

グスコーブドリは、イーハトーヴの大きな森のなかに生まれました。

物語の書き出し。イーハトーヴの森で木こりの子として生まれたブドリが、冷害と飢饉を経て、人々のために身をささげる技師となるまでの伝記が始まる。

そしてちょうど、このお話のはじまりのようになるはずの、たくさんのブドリのおとうさんやおかあさんは、たくさんのブドリやネリといっしょに、その冬を暖かいたべものと、明るい薪で楽しく暮らすことができたのでした。

物語の結び。ブドリが火山島に残り、命と引き換えに気候を暖めたあと、かつての自分の一家のような人々が救われたことを告げて、自己犠牲の物語を静かに閉じる。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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