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町内の二天才(坂口安吾)のあらすじ・登場人物

親馬鹿二人の天才騒動

  • 風刺
  • 心理

坂口安吾 1953年(昭和28年)12月 「キング」

文字数
12,836字
読了目安
約26分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

魚屋の金サンと隣の床屋の源サンという、江戸前の気質の二人の父親が、それぞれの息子を天才と信じて争う人情ユーモア小説。昭和28年、大衆雑誌「キング」に発表された。野球少年と将棋少年をめぐる親馬鹿の張り合いが、東京から呼んだ「豆名人」を巻き込んだ大騒ぎに発展する。軽快なべらんめえ調の会話が中心で、章ごとに題のつく読み切りの小品である。

あらすじ

魚屋の金サンと床屋の源サンは隣同士の仲だが、互いの息子の腕をけなして国交断絶に至る。金サンの息子の長助は野球の投手、源サンの息子の正坊は十四歳で新聞に載るほどの将棋の天才少年である。金サンは本や雑誌で仕込んだ理屈で長助に早朝のランニングやマキ割りをさせ、源サンはそれを魚屋の発狂だと町内に言いふらす。腹を立てた金サンは、店子の易者天元堂に、東京から正坊を負かせる豆天才を探させることにし、天元堂はバタ屋の集団に暮らす貧相な「メメズ小僧」を見つける。対局の日、金サンは長助の準々決勝があって将棋の会場には来られないと天元堂に代理を任せる。ところが相手の石田投手は桁違いの速球で、長助のチームは十一対〇のコールド負けとなる。金サンは天下の広さを思い知らされる。将棋のほうも、正坊は角落ちでメメズ小僧に三番棒で負ける。金サンは隣の床屋にあやまりに行き、源サンも苦笑して、バカな夢を見たものだと言い合う。天元堂はマキを自分の二階へ運び込んでいる。

登場人物

冒頭部(原文より)

その日は魚屋の定休日であった。金サンはうんと朝寝して、隣の床屋へ現れた。 「相変らず、はやらねえな」  お客は一人しかいなかった。

「町内の二天才」坂口安吾(青空文庫)

末尾部(原文より)

「ヤ、旦那。無事、すみましたぜ。角落ちで、見事に三番棒でさア」 「そうだってな」 「マキは運んでいいでしょうね」 「うるせえな。運んでるじゃないか」 「ですから、運んでいいでしょうね」 「早く運んじまえ……」  金サンは割れ鐘のような声で怒鳴ると、家の中へもぐりこんでしまった。

「町内の二天才」坂口安吾(青空文庫)

原文を読む

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