渡り鳥(太宰治)のあらすじ・登場人物
音楽会帰りの口まかせ
- 風刺
- 心理
- 文字数
- 6,707字
- 読了目安
- 約13分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 東京都
この作品について
太宰治の掌編。1948年(昭和23年)4月、雑誌「群像」に発表された。音楽会がはねた夜の日比谷から有楽町、銀座へ、ジャンパー姿の青年が、会う人ごとに調子を合わせては内心で毒づきながら歩く。語り手の心の声とせりふを重ねる文体と、酔った青年の文学論が読みどころで、冒頭にはダンテの句が掲げられる。
あらすじ
音楽会の終わった晩秋の夜、日比谷公会堂から烏の群れのように人が出てくる。無帽蓬髪、ジャンパー姿の痩せた青年は、音楽評論家の山名先生に声をかけ、モーツァルトを持ち上げてご機嫌を取ろうとするが、有楽町駅で別れる。続いて、組合運動に忙しい女性評論家の田辺女史に会い、民主革命の話で調子を合わせてお茶に誘うが断られる。青年は、会う相手ごとに内心では悪態をついている。そこへ、かつて勤め先の出版社に原稿を持ち込んできた文学青年が現れ、原稿が売れたので今夜残らず使うと言って誘う。青年は行きつけの飲み屋へ案内し、酔うにつれて、独創とは胃袋の問題だなどと、延々と文学論をまくし立てる。最後に、これはみなヴァレリイの受け売りだと白状して吐き、買ったばかりのヴァレリイの本を渡し、全部の勘定を払って、水鳥のように飛び立つ。
登場人物
- 柳川(青年) 無帽蓬髪でジャンパー姿の痩せた青年。仮名で通し、出版社の編集を手伝う
- 山名先生 音楽評論家。モーツァルト讃美の論文がある
- 田辺女史 四十歳ほどの女性評論家。組合運動に忙しい
- 文学青年 以前、柳川に原稿を持ち込んで断られた男。原稿料を持っている
冒頭部(原文より)
晩秋の夜、音楽会もすみ、日比谷公会堂から、おびただしい数の烏が、さまざまの形をして、押し合い、もみ合いしながらぞろぞろ出て来て、やがておのおのの家路に向って、むらむらぱっと飛び立つ。
「渡り鳥」太宰治(青空文庫)
末尾部(原文より)
無帽蓬髪、ジャンパー姿の痩せた青年は、水鳥の如くぱっと飛び立つ。
「渡り鳥」太宰治(青空文庫)
原文を読む
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