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第四の夫から(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

チベットで四人目の夫に

  • 風刺
  • 冒険

芥川龍之介 1924年(大正13年)4月 「サンデー毎日」

文字数
2,581字
読了目安
約5分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

芥川龍之介の短編。チベットのラッサに暮らす日本人の「僕」が、日本の友人へ送る手紙の形をとった書簡体の小説である。一人の妻を四人の夫が共有する土地の暮らしを、書き手はまじめくさって説明してみせる。結婚の形式は便宜に拠るものにすぎないという言い分を通して、「文明国」の道徳を皮肉っている。「サンデー毎日」1924(大正13)年4月号に発表。

あらすじ

「僕」は旧友へ宛てて、インドのダージリンの知人を介して送る手紙を書く。いまは支那人になりすましてチベットのラッサに住み、三人の夫と一人の妻を共有しているのだと打ち明ける。ラッサの人々は怠惰で、町の門口ではいつも誰かが居眠りをしている。妻のダアワは「月」の意味の名をもつ優しい女で、夫は行商人、歩兵の伍長、ラマ教の仏画師、そして理髪師になった「僕」の四人。結婚の形式はすべて便宜によるもので、一夫一妻の基督教徒が異教徒より道徳が高いわけでもないと「僕」は説く。二年ほど前にダアワが手代と不貞を働いたときは、四人の夫が相談して手代の鼻を削ぎ落とし、ダアワのことは許した。その後ダアワは貞淑に四人を愛している。手紙は、午睡から覚めた妻と、従兄妹どうしで結婚した男女の曝しものを見物に出かけるところで終わる。

冒頭部(原文より)

 この手紙は印度のダアジリンのラアマ・チャブズン氏へ出す手紙の中に封入し、氏から日本へ送って貰うはずである。無事に君の手へ渡るかどうか、多少の心配もない訣ではない。しかし万一渡らなかったにしろ、君は格別僕の手紙を予想しているとも思われないからその点だけは甚だ安心している。が、もしこの手紙を受け取ったとすれば、君は必ず僕の運命に一驚を喫せずにはいられないであろう。第一に僕はチベットに住んでいる。第二に僕は支那人になっている。第三に僕は三人の夫と一人の妻を共有している。

「第四の夫から」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

 ちょうど今午睡から覚めたダアワは僕を散歩につれ出そうとしている。では万里の海彼にいる君の幸福を祈ると共に、一まずこの手紙も終ることにしよう。ラッサは今家々の庭に桃の花のまっ盛りである。きょうは幸い埃風も吹かない。僕等はこれから監獄の前へ、従兄妹同志結婚した不倫の男女の曝しものを見物に出かけるつもりである。……

「第四の夫から」芥川龍之介(青空文庫)

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