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氷河鼠の毛皮(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

北極行き急行の毛皮騒動

  • 冒険
  • 風刺

宮沢賢治 1923年(大正12年)4月 「岩手毎日新聞」

文字数
6,042字
読了目安
約12分
表記
新字旧仮名

この作品について

宮沢賢治の童話。吹雪のイーハトヴを発つ「ベーリング行き」の最大急行で、毛皮自慢の金持ちの紳士が、乗客たちの前で酔ってからみ、白熊たちの襲撃に遭う。軽い語り口の中に、人間の傲慢と、動物たちの立場への視線がある。1923年に「岩手毎日新聞」に掲載された。

あらすじ

十二月二十六日の夜、ベーリング行きの最大急行がイーハトヴを発つ。客車には、北極の近くで黒狐を九百匹とるのだとウィスキーを飲んで威張るイーハトヴのタイチという紳士や、痩せた赤ひげの男、窓の外を黙って見ている若い船乗りらしい青年が乗っている。酔ったタイチは、他の乗客の外套をにせものと言ってけんかをする。夜が明けると列車は急に止まり、赤ひげがピストルを突きつけて入ってきて、白熊のような二十人の男たちとともに、タイチを引きずり出そうとする。窓ぎわの青年は天井にぶつかるほど飛びあがって赤ひげを倒し、ピストルをつかんで熊たちに、これからは無法を気をつけさせるから、今度は許してくれと叫ぶ。汽車が動き出すと、青年は赤ひげを降ろし、ピストルを窓の外に投げる。

登場人物

冒頭部(原文より)

 このおはなしは、ずゐぶん北の方の寒いところからきれぎれに風に吹きとばされて来たのです。氷がひとでや海月やさまざまのお菓子の形をしてゐる位寒い北の方から飛ばされてやつて来たのです。  十二月の二十六日の夜八時ベーリング行の列車に乗つてイーハトヴを発つた人たちが、どんな眼にあつたかきつとどなたも知りたいでせう。これはそのおはなしです。

「氷河鼠の毛皮」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

『あの赤ひげは熊の方の間諜だつたね』誰かが云ひました。わかものは又窓の氷を削りました。  氷山の稜が桃色や青やぎらぎら光つて窓の外にぞろつとならんでゐたのです。これが風のとばしてよこしたお話のおしまひの一切れです。

「氷河鼠の毛皮」宮沢賢治(青空文庫)

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