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二人の役人(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物

長官の遊ぶ野原の役人

  • 風刺
  • 冒険

宮沢賢治 

文字数
5,018字
読了目安
約10分
表記
新字新仮名

この作品について

少年のころの「私」が、友人の慶次郎と野原へきのこを採りに行き、東北長官の出遊のために立ち入り禁止になった野原で、二人の役人と鉢合わせる回想談。見つかれば縛られると身を縮める二人と、栗の実をまいて偽装する役人たち、それでも威厳を保とうとする役人のおかしさが、子どもの目の高さで書かれる。権威を笑う風刺と、野原の初茸や栗の風物が同居する短編。

あらすじ

風穂の野原がまだ立派だったころ、九月に「私」は毎日、友人の藤原慶次郎と初茸や栗を採りに出かけた。ある日曜日、野原の入り口に、東北長官一行の出遊のため立ち入りを禁じる札が立っているのを見つける。二人はかまうものかと入りこみ、長官を見ようと寺林のはんの木の間に隠れる。そこへ二人の役人がやって来て、袋から何かを撒きはじめるので、見つかって殺されると青くなった私たちは、採ったきのこを棄てて縛られる覚悟までする。撒いていたのは栗の実で、長官を喜ばせるための仕込みだったが、役人は栗の木でない場所に撒いたことに気づいて慌て、あらためて栗の木の下に撒きなおす。やがて私たちが見つかると、役人は子どもたちを咎めず、初茸の場所を探してほしい、ごほうびをやると頼む。二人は初茸の場所を探し、とった七十本を、萱の穂に刺して林の中に立てるが、役人たちは見ばえがおかしいとか、やはりばれたら大変だとか言って、結局やめてしまう。私たちは小麦粉の袋をもらって林を出、思わず笑ってしまうと、一目散に逃げる。長官は夕方まで家族と遊んで帰ったと聞いた。翌年二人は中学校に入り、町で二人の役人に何度も会ったが、向こうは思い出せないという顔をしていた。

登場人物

冒頭部(原文より)

 その頃の風穂の野はらは、ほんとうに立派でした。  青い萱や光る茨やけむりのような穂を出す草で一ぱい、それにあちこちには栗の木やはんの木の小さな林もありました。  野原は今は練兵場や粟の畑や苗圃などになってそれでも騎兵の馬が光ったり、白いシャツの人が働いたり、汽車で通ってもなかなか奇麗ですけれども、前はまだまだ立派でした。

「二人の役人」宮沢賢治(青空文庫)

末尾部(原文より)

けれどももう役人は追って来ませんでした。その日の晩方おそく私たちはひどくまわりみちをしてうちへ帰りましたが東北長官はひるころ野原へ着いて夕方まで家族と一緒に大へん面白く遊んで帰ったということを聞きました。その次の年私どもは町の中学校に入りましたがあの二人の役人にも時々あいました。二人はステッキをふったり包みをかかえたりまた競馬などで酔って顔を赤くして叫んだりしていました。私たちはちゃんとおぼえていたのです。けれども向うではいつも、どうも見たことのある子供だが思い出せないというような顔をするのでした。

「二人の役人」宮沢賢治(青空文庫)

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