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道中一枚絵 その一(泉鏡花)のあらすじ・登場人物

弥次喜多の友白髪

  • 風刺

泉鏡花 1904年(明治37年)1月 「文芸倶楽部」

文字数
5,284字
読了目安
約11分
表記
旧字旧仮名
種別
小説
舞台
  • 神奈川県
  • 静岡県

この作品について

1904年(明治37年)1月の『文芸倶楽部』に発表された、弥次郎兵衛と喜多八が主人公の戯文風の掌編。本文末に「明治三十七年一月」とある。元日に箱根で手に入れた「友白髪」という葱を道中で使い回そうとする弥次郎と、それを受け流す喜多八の掛け合いで、東海道の風物を滑稽に描く。続編「その二」とあわせて読める。

あらすじ

正月早々、弥次郎は「友白髪」を二つ手に入れたが、一つは喜多八に功名をさらわれたと言い、もう一つを使い活かすと意気込んでいた。友白髪とは、大晦日に塔ノ沢の環翠楼に泊まった翌朝、元日の屠蘇の肴に添えられた葱のことで、弥次郎は女中から意味を聞いて気に入り、持ち帰ることにした。三島発の汽車で出会った新婚の新学士に、喜多八が祝儀と称してこれを贈る。五日に久能山を参詣した弥次郎は、茶屋の亭主の長口上に辟易しつつ登る。そこへ現れたのは、大磯の将棋好きの御前に仕える婦人で、弥次郎は将棋の相手に連れ戻されることを恐れて青くなる。友白髪を差し出して取りなそうとするが、婦人に「白髪だと思って私を」と怒られ、弥次郎は喜多八に助けを求める。

登場人物

冒頭部(原文より)

「奇妙、喜多八、何と汝のやうなものでも、年に一度ぐらゐは柄に無い智慧を出すから、ものは不思議よ。然し春早々だから、縁起だ、今年は南瓜が當るかな。しかし俺も彌次郎、二ツあつた友白髮、一ツはまんまと汝に功名をされたけれども、あとの一ツは立派に負けねえやうに目覺しく使つて見せる。」と、道中二日三日、彌次は口癖のやうに言つた。

「道中一枚絵 その一」泉鏡花(青空文庫)

末尾部(原文より)

「御緩り御參詣」と彌次郎揚々として坂を下りんとするまで、默つて友白髮を視めた美人嬌瞋を發して、「先生。」彌次、「や。」美人、「御前が白髮だと思つて、厭ですよ私を、こんな人の惡いことをなさるなら、もう堪忍して上げません。」彌次、「えゝ。」美人、「引張つて歸るから可い、否、何うせ無理に願つて遊びに來たんです、御機嫌の惡いのは知れて居ますからね、先生さへ連れて行きや、どんなにお喜びだか知れないんです。」彌次、「これは!」美人、「誰か一人附いておいで、遁しちやなりませんよ。身代りよりも大事な方だから、」彌次蒼くなつて、「助けてくれ、喜多八、喜多八。」

「道中一枚絵 その一」泉鏡花(青空文庫)

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