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不思議な島(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

野菜の山を築く島の夢

  • 幻想
  • 風刺

芥川龍之介 1924年(大正13年)1月 「随筆」

文字数
6,349字
読了目安
約13分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

芥川龍之介の短編。籐椅子でうたた寝をした「僕」が、船上で十八世紀風の英国人の老人に出会い、野菜ばかりを作っている島の話を聞く夢を描く。野菜を育てる人々、買い付ける商人、善し悪しを決める者、講義する大学の教授と、島のしくみは奇妙に筋が通っていて、文壇や批評をめぐる風刺としても読める。「随筆」1924(大正13)年1月号に発表。

あらすじ

「僕」は船の甲板の籐椅子で横になっている。霧の向こうに円錐形の島の影が見えるが、隣の老人に借りた望遠鏡で覗くと、山のような野菜のピラミッドが見えた。気がつくと「僕」はホテルのサロンで、老人から島の話を聞いている。島の住民は男も女も野菜を作り、近海の島々に売るが、売れ残りは年々積み上がっていく。野菜の善し悪しは片輪が決めることになっていて、赤い野菜こそ野菜だと演説する者や、青い野菜を好む者がいる。大学では外国の野菜の講義ばかりで、島の野菜は教えない。島の人々はカメレオンの偶像に売れ行きを祈っている。老人が差し出した名刺には、レミュエル・ガリヴァーと印刷されていた。老人の顔が甥の顔に変わり、「僕」は置火燵の傍らで目を覚ます。机の上にはガリヴァー旅行記が開いたままで、甥は随筆の原稿を取りに人が来たと告げる。

冒頭部(原文より)

 僕は籐の長椅子にぼんやり横になっている。目の前に欄干のあるところをみると、どうも船の甲板らしい。欄干の向うには灰色の浪に飛び魚か何か閃いている。が、何のために船へ乗ったか、不思議にもそれは覚えていない。つれがあるのか、一人なのか、その辺も同じように曖昧である。

「不思議な島」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

 甥は僕を揺すぶった。僕は置火燵に当ったまま、三十分ばかり昼寝をしたらしい。置火燵の上に載っているのは読みかけた Gulliver's Travels である。 「原稿をとりに来た? どこの原稿を?」 「随筆のをですってさ。」 「随筆の?」  僕は我知らず独言を云った。 「サッサンラップ島の野菜市には『はこべら』の類も売れると見える。

「不思議な島」芥川龍之介(青空文庫)

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原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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