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不在地主(小林多喜二)のあらすじ・登場人物

搾取に抗う小作人たちの闘い

  • 社会

小林多喜二 1929年(昭和4年)11月 「中央公論」

文字数
69,697字
読了目安
約2時間19分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 北海道

この作品について

小林多喜二が1929年(昭和4年)、「中央公論」「戦記」に発表した中編小説。「蟹工船」と並ぶ多喜二の代表的なプロレタリア文学で、北海道の農村を舞台に、都会に住む「不在地主」のもとで搾取される小作人・貧農たちの苦しい暮らしと、農民組合へと結集してゆく闘いを描く。北海道拓殖銀行に勤めた多喜二自身が支援した、磯野農場の小作争議に取材した作品である。

あらすじ

「移民案内」の大それた夢に誘われ、雪深い北海道へ渡ってきた健の一家は、開墾すれば土地の半分を無償で与えるという地主の約束を反故にされ、二年で最初の「入地」を逃げ出したすえ、「岸野農場」の小作に落ちついた。取っておいた食料の米さえ差し押さえられ、軒下に積まれたまま指一本つけられない――そんな小作人として、健たちは貧窮の底を這うように生きている。村に電燈がつき、電柱が一本一本近づいてくる新しい時代の一方で、「立毛差押」「土地返還請求」「過酷な小作料」に身動きもならず縛りつけられた百姓たちがいる。そして肝心の地主は村にいない。つぶれかかった小作の掘立小屋のなかに、鶴のようにすっきりと際立つ地主の白壁――だが、その主は都会に住まう「不在地主」なのである。徴兵検査を控え、青年訓練所に通いながら家計を支えていた健は、やがて、搾取と貧困に抗して立ち上がる小作人たちとともに、農民組合の運動へと身を投じてゆく。物語の最後、健は固い決心で旭川に出て、「農民組合」で働き出すのだった。北海道の小作農の過酷な現実と、その組織的な闘いへの目ざめを、多喜二が鋭く描いたプロレタリア文学の代表作である。

登場人物

冒頭部(原文より)

この一篇を、「新農民読本」として全国津々浦々の「小作人」と「貧農」に捧げる。「荒木又右衛門」や「鳴門秘帖」でも読むような積りで、仕事の合間合間に寝ころびながら読んでほしい。

「不在地主」小林多喜二(青空文庫)

末尾部(原文より)

 健は固い決心で旭川に出て行った。キヌの妹が見送ってきてくれた。  彼は、そして「農民組合」で働き出した。

「不在地主」小林多喜二(青空文庫)

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