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逆行(太宰治)のあらすじ・登場人物

時をさかのぼる四つの掌編

  • 心理

太宰治 1935年(昭和10年)2月 「文藝」

文字数
11,609字
読了目安
約23分
表記
旧字旧仮名
種別
小説

この作品について

太宰治が1935年(昭和10年)2月、『文藝』に発表した、「蝶蝶」「盗賊」「決闘」「くろんぼ」の四つの掌編から成る短編。老人から少年へと、年をさかのぼるように配した連作で、若くして老成した男や、ふてぶてしい少年たちの姿を通して、生の倦怠と反抗をスケッチする。第1回芥川賞の候補作となり、太宰の名が文壇に知られるきっかけとなった。初期の才気が凝縮した一編。

あらすじ

四つの短い物語が置かれる。「蝶蝶」——二十五を過ぎたばかりで、ふつうの人の三倍の速さで生を燃やし尽くした「老人」が、遊蕩の果ての病の床で死を迎える。「盜賊」——旧制高校生の「私」が、優等生の仮面の裏でひそかに味わう反抗と自尊。「決鬪」——気位ばかり高い若者たちのこっけいな諍い。「くろんぼ」——巡回サーカスの見世物小屋にいる「くろんぼ」に、性の匂いを嗅ぎつけて胸をときめかせる少年。年老いた者から幼い者へと時をさかのぼるように並べられた四つの情景を通して、太宰は青春の倦怠と虚勢、そして生への皮肉なまなざしを描き出す。

登場人物

冒頭部(原文より)

老人ではなかつた。二十五歳を越しただけであつた。けれどもやはり老人であつた。ふつうの人の一年一年を、この老人はたつぷり三倍三倍にして暮したのである。二度、自殺をし損つた。そのうちの一度は情死であつた。三度、留置場にぶちこまれた。

「逆行」太宰治(青空文庫)

末尾部(原文より)

村のひとたちの話に依れば、くろんぼは、やはり檻につめられたまま、幌馬車に積みこまれ、この村を去つたのである。太夫は、おのが身をまもるため、ピストルをポケツトに忍ばせてゐた。

「逆行」太宰治(青空文庫)

原文を読む

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