博多小女郎波枕(近松門左衛門)のあらすじ・登場人物
遊女への恋が、海賊に続く
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- 冒険
- 古典
- 文字数
- 17,775字
- 読了目安
- 約36分
- 表記
- 新字旧仮名
- 舞台
- 福岡県
- 大阪府
- 京都府
この作品について
近松門左衛門の人形浄瑠璃。1718年(享保3年)11月に大坂・竹本座で初演された、近松の晩年の世話物で、上・中・下の三巻から成る。密貿易(抜荷)を行う海賊の一味と、それに巻き込まれた京の商人・小町屋惣七、博多柳町の遊女・小女郎の悲恋を描く。長崎生まれで京に暮らす惣七は、博多の遊女・小女郎と夫婦の約束をしている。上方への船に乗り合わせた惣七は、一味の頭・毛剃九右衛門と打ち解けるが、密貿易の荷を受け取る場面を見た供の者を殺され、自分も海へ投げ込まれる。命からがら逃れて博多に着いた惣七は、無一文で小女郎を訪ね、そこへ遊女七人を身請けしにきた毛剃と鉢合わせる。小女郎のために、惣七はやむなく海賊の仲間に加わる。京へ戻っても罪は消えず、父・惣左衛門の説く「正道」にも背けないまま、二人は伊勢路へ逃れる。海賊を主役にした世話物として異色で、道行の場面に駕籠かきの掛け合いを置くなど、旅の道中の写しも見どころになっている。毛剃九右衛門は、後に歌舞伎などでも海賊の頭として知られた。本書は「近代日本文学大系」第7巻(国民図書、1928年)による原文で、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて起こし、収録した。
あらすじ
【上巻】長門の下の関沖に停まる船で、海賊の頭・毛剃九右衛門が、仲間の帰りを待っている。上方へ行く船に乗り合わせた京の商人・小町屋惣七は、毛剃たちと打ち解け、博多柳町の遊女・小女郎を身請けするつもりだと語る。やがて戻った仲間から、毛剃たちが密貿易の荷を受け取った様子を見た惣七の供の者は、海へ投げ込まれて殺される。惣七も水棹で抗うが海へ落とされ、小舟で辛くも逃れる。一文無しになった惣七は博多柳町の奥田屋を訪ね、母の十三年忌の日だった小女郎に迎えられる。そこへ毛剃たちが現れ、遊女六人の身請けを言い出す。障子越しに毛剃を見た小女郎は、金が欲しいと打ち明ける。惣七と毛剃は顔を合わせ、毛剃は惣七を殺そうとするが、小女郎のために惣七は仲間に加わる。毛剃は七人分の身請けの代金を払う。【中巻】京へ戻った二人が見たのは、貸家札の下がった我が家だった。惣七の父・惣左衛門が、海賊の金で買った家財を売り払い、家主に詫びていたのである。伊勢路へ逃げようとするところへ毛剃が来て、預かった割符を渡せと迫り、惣七と斬り合いになる。壁の向こうの惣左衛門が壁を破って割符を差し出し、毛剃は去る。惣左衛門は、壁越しに息子夫婦へ正道を説き、家財を売った金を路銀として投げ与えて、二人を送り出す。【下巻】惣七と小女郎は道行の末、四日市の追分に着く。駕籠を替えたところへ捕手が来て、惣七は駕籠の中で自害する。小女郎も縄をかけられるが、惣七の死を見て泣き崩れる。そこへ検非違使が、捕らえた海賊一味と遊女たちを引き連れて現れ、新帝の即位の恩赦で死罪を許し、一同を追放とする。小女郎は、惣七の父・惣左衛門に孝行を尽くすよう言い渡される。
登場人物
- 惣七(小町屋惣七) 長崎生まれで京に暮らす商人。小女郎のために海賊の仲間に加わる
- 小女郎 博多柳町・奥田屋の遊女。惣七を夫と思い定めている
- 毛剃九右衛門 密貿易を行う海賊の頭。長崎の生まれ
- 惣左衛門 惣七の父。正道を説いて息子の悪事を正そうとする
- 四郎左衛門 博多柳町・奥田屋の亭主
冒頭部(原文より)
船を出しやらば夜深に出しやれ、帆影見るさへ気に懸る。長門の秋の夕暮は、歌に詠むてふ門司が関、下の関とも名に高き、西国一の大湊。
「博多小女郎波枕」近松門左衛門(青空文庫)
末尾部(原文より)
鄰国他国幾万人、博多小女郎が物語、語るも聞くも後代の、永き噂を遺しけり。
「博多小女郎波枕」近松門左衛門(青空文庫)
原文を読む
原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:「近代日本文学大系」第7巻 近松門左衛門集 下(国民図書、1928年)。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて起こし、本文だけを収録した(ルビ・註の印・曲節や役の指定・場面の題・解題・註釈は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。