浜松中納言物語(作者不詳)のあらすじ・登場人物
亡き父を求めて、唐へ渡る
- 恋愛
- 幻想
- 冒険
- 古典
- 文字数
- 111,268字
- 読了目安
- 約3時間43分
- 表記
- 新字旧仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 奈良県
この作品について
平安時代後期、11世紀なかばごろに成立したとされる王朝物語。作者は『更級日記』の作者(菅原孝標女)とする説があるが、確かではない。もとは六巻あったと考えられ、首巻は失われて現在は五巻が伝わる。亡き父が唐の皇子に生まれ変わったという夢のお告げを受けた中納言が、父に会うために唐へ渡り、唐の后と契って子をもうけ、その子を連れて帰国する。日本と唐、現世と来世をまたぐ夢と転生の物語で、のちの『夜の寝覚』などとともに、『源氏物語』以後の物語文学の流れの中に置かれる。本書は国文大観(物語部「雑上」、丸岡桂・松下大三郎共編、板倉屋書房、1903年)に収める原文で、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて校正し、収録した。
あらすじ
日本の中納言は、亡き父が唐の皇子に生まれ変わったと夢に告げられ、父との再会を願って唐へ渡る。荒波にも遭わず唐土に着いた中納言は、唐の帝のもとで世にならぶ者のない人物と迎えられ、父の転生した三の御子に会う。その唐で、河陽県という所に住む后と出会い、心を通わせて、日本へ帰る前に子をもうける。帰国した中納言は、唐の后と残してきた思いを抱えたまま、吉野の山に隠れ住む尼君とその娘の姫君の消息を知り、これを訪ねる。唐の后との間の若君を育てながら、吉野の姫君や、姫君を求める式部卿の宮との関係に心を砕くが、物語は式部卿の宮が姫君を連れ去ろうとするところで「いかならむとぞ。」と結ばれ、先は語られない。
登場人物
- 中納言 物語の主人公。亡き父の転生を夢に告げられ、唐へ渡る
- 三の御子 唐の帝の第三皇子。中納言の亡き父の転生とされる
- 河陽県の后 唐の后。中納言と契り、若君を産む
- 吉野の姫君 吉野の山里に母の尼君とともに暮らす姫君
- 式部卿の宮 吉野の姫君を求め、あきらめずにかかわってくる
冒頭部(原文より)
孝養の志深く思ひたちにし道なればにや、おそろしう遥に思ひやりし浪の上なれど、荒き浪風にも遇はず、思ふかたの風なむ、殊に吹き送る心ちして、もろこしのうんれいといふ所に、七月かみの十日におはしまし着きぬ。
「浜松中納言物語」作者不詳(青空文庫)
末尾部(原文より)
式部卿の宮、例のいとあながちなるさまにかまへて、今宵かならずゐて隠してむとおぼしておはしましぬめり。いかならむとぞ。
「浜松中納言物語」作者不詳(青空文庫)
原文を読む
原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:丸岡桂・松下大三郎 共編「國文大觀 物語部 雜上」(板倉屋書房、1903年)。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて校正し、浜松中納言物語の本文だけを収録した(異本の注記・傍注は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。