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犯人(坂口安吾)のあらすじ・登場人物

山村の殺人と少年の詩

  • ミステリ
  • 心理

坂口安吾 1953年(昭和28年)1月 「群像」

文字数
12,695字
読了目安
約25分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

1953年(昭和28年)1月、「群像」に発表された坂口安吾の短編推理小説。山奥の村で、日蓮の女行者サヨが殺される。村の医師、人見が疑われ、新聞記者や教師の思惑が絡み、思いがけない人物が自白する。事件の謎解きよりも、噂や思い込みで人が追い詰められる様子と、貧しい少年の心が焦点となる。安吾が推理小説の形で戦後の社会と人間の悲しみを描いた作品のひとつ。

あらすじ

山奥の村で、日蓮の女行者サヨが全裸で腹を刺されて殺される。医師の人見は現場で、屍体に着物をかけた際にトランプのハートのクインを拾い、投げ捨てた。二、三週間前、花井訓導は「サヨは必ず殺される」と予言していた。捜査は難航し、県都の新聞が人見の指紋とトランプを手がかりに、人見を犯人らしく報じる。人見は、花井が投書したと疑い、新聞社に出かけるが、バスの中の会話を聞き違えたと分かり、疲れ果てる。花井と対決した夜、人見は、サヨから診察料代わりの色目を向けられた過去を思い出して卒倒する。トランプが紛失し、発見者の少年、仁吉の懐から見つかる。仁吉は、サヨが死ぬ前に頼まれて短刀で腹を刺したのだと告白する。サヨは、大人になる前に死んだほうがよいと言い、裸で死に恥をさらしたいと語ったという。短刀が見つかり、事件は解決する。一方、花井は人見や平戸先生を逆恨みして発狂し、精神病院へ送られた。

登場人物

冒頭部(原文より)

 その山奥の村に殺人事件があった。被害者は日蓮の女行者でサヨといった。  人見医師は駐在の里村巡査にたのまれて一しょに現場へ行った。役場や駐在所や医院などのある村の中心部から山を一ツ越した部落で、その部落でも一番端れの山際に孤立した傾いた小屋がサヨの住居であった。

「犯人」坂口安吾(青空文庫)

末尾部(原文より)

「最もいまわしい汚れた女が殺されたために、大金を費し、良民に迷惑をかけて犯人を探すことがすでに奇怪である。肉体で支払いをした女も、その支払いをうけた男も、畜生であって、人間ではない」  彼は人を殺しまた裁くことだけ知っていたが、自分を裁くことは知らなかった。それが彼の云う人間であった。畜生は自分を裁いて死んだ。

「犯人」坂口安吾(青空文庫)

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