アプリで読む

無料・登録不要

皮膚と心(太宰治)のあらすじ・登場人物

吹出物におびえる女の心

  • 心理

太宰治 1939年(昭和14年)11月 「文学界」

文字数
15,855字
読了目安
約32分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

太宰治が1939年(昭和14年)11月、『文学界』に発表した短編。年上の無口な夫と暮らす「私」の肌に、ある日とつぜん赤い吹出物が現れる。その醜さへの恐れと恥ずかしさ、夫の目に自分がどう映るかという不安を、女性の一人称でこまやかに追う「女性独白体」の一編。皮膚の小さな異変から、女の自意識と夫への思いが揺れ動くさまを、鋭敏な感覚で描いている。

あらすじ

二十八歳の「私」は、器量にも取り柄のない自分を、年上の無口で誠実な夫がもらってくれたことを、ひそかにありがたく思っている。ある日、左の乳房の下に小豆粒ほどの吹出物を見つけ、湯屋で強くこすったのがいけなかったのか、赤い発疹はみるみる胸から腹、背中、首へと全身に広がっていく。鏡に映る醜い裸身に、「私」はいままでの自分でなくなったような、世間から切り離されたような心細さにおそわれる。夫はそんな「私」の肌を丹念に調べ、いたわり、医者へ連れていってくれる。皮膚のわずかな異変が心の奥までかき乱していくなかで、「私」は無口な夫の変わらぬやさしさにそっと支えられている自分を見出していく。やがて発疹が癒えはじめた日、陽の光に手をかざす「私」に夫が「うれしいか?」とたずね、「私」は恥ずかしく思うのだった。

登場人物

冒頭部(原文より)

ぷつッと、ひとつ小豆粒に似た吹出物が、左の乳房の下に見つかり、よく見ると、その吹出物のまわりにも、ぱらぱら小さい赤い吹出物が霧を噴きかけられたように一面に散点していて、けれども、そのときは、痒くもなんともありませんでした。憎い気がして、お風呂で、お乳の下をタオルできゅっきゅっと皮のすりむけるほど、こすりました。それが、いけなかったようでした。

「皮膚と心」太宰治(青空文庫)

末尾部(原文より)

私は、なんども陽の光に両手をかざして、眺めました。 「うれしいか?」 そう言われて私は、恥ずかしく思いました。

「皮膚と心」太宰治(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品

近い作品