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氷河期の怪人(海野十三)のあらすじ・登場人物

氷河期を語る怪人

  • SF
  • 冒険

海野十三 1940年(昭和15年)1月

文字数
7,321字
読了目安
約15分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

ヨーロッパへ向かう旅客機がヒマラヤ山脈に不時着し、少年・道彦の前に氷の中から現れたような怪人が姿を現す。氷河期の人間を名乗る怪人が語る、二つの月と地球に降りかかった災厄の物語。ヒマラヤの雪山を舞台にした、海野十三の短い少年向けSF冒険小説。

あらすじ

特使団の一行を乗せた旅客機ヤヨイ号は、ヒマラヤ山脈上空で嵐に遭い、山の斜面に不時着する。木谷博士が気を失う中、少年・道彦はひとり外へ出て、氷の中から出てきたという怪人に出会う。怪人は自らを氷河期の人間と名乗り、地球にかつて二つの月があったこと、小さい月が落ちてきて氷河期が訪れたことを語り始める。

登場人物

冒頭部(原文より)

 このふしぎな物語は旅客機ヤヨイ号が、ヒマラヤ山脈中に不時着した(?)事件から、はしなくも、くりひろげられる。  このヤヨイ号には、ある特別な用事をおびて、ヨーロッパへわたる特使団の一行がのっていた。道彦少年も、その中に加わっていた。彼は、団長木谷博士の小さい秘書だった。  世界地図をひろげてみるとわかるが、日本からヨーロッパへとぶには、どうしても、ヒマラヤ山脈にぶつかるのであった。ヤヨイ号は、仏領インドシナ某地点で、多量のガソリンやオイルを積みこんでから、ふわりと空へまいあがったのであった。  インドの上をとぶことができれば、都合がよかったのであるが、あいにく気象状態がよくないので、この国の上へは、なるべくとばない方がよかった。だから針路をインドの北どなりにとり、まるで天然の万里の長城のようなヒマラヤ山脈を越え、チベットやネパールやブータンの国々の間をぬい、そして一気にアフガニスタン国のカブールという都市まで無着陸の飛行をつづけなければならなかった。これは全航路の中で、一等あぶないところであった。ヤヨイ号は、ついに、この大難所にさしかかった。機の高度は、八千メートルであった。

「氷河期の怪人」海野十三(青空文庫)

末尾部(原文より)

 博士は、おかしくてたまらないというように、腹をおさえて笑った。 「そうだ、あの怪人は、わしは氷河期時代の人間だなどとみょうなことをいったっけ。あそこで、これは夢だなと、気がついてよかったはずだったのに」  道彦もおかしくなって、げらげらと笑いだしたが、その笑いはなかなかとまらなかった。

「氷河期の怪人」海野十三(青空文庫)

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