氷河期の怪人(海野十三)のあらすじ・登場人物
氷河期を語る怪人
- SF
- 冒険
- 文字数
- 7,321字
- 読了目安
- 約15分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
ヨーロッパへ向かう旅客機がヒマラヤ山脈に不時着し、少年・道彦の前に氷の中から現れたような怪人が姿を現す。氷河期の人間を名乗る怪人が語る、二つの月と地球に降りかかった災厄の物語。ヒマラヤの雪山を舞台にした、海野十三の短い少年向けSF冒険小説。
あらすじ
特使団の一行を乗せた旅客機ヤヨイ号は、ヒマラヤ山脈上空で嵐に遭い、山の斜面に不時着する。木谷博士が気を失う中、少年・道彦はひとり外へ出て、氷の中から出てきたという怪人に出会う。怪人は自らを氷河期の人間と名乗り、地球にかつて二つの月があったこと、小さい月が落ちてきて氷河期が訪れたことを語り始める。
登場人物
- 道彦 特使団に加わった少年
- 木谷博士 道彦を見守る団長の博士
- 怪人 氷河期の人間を名乗る大男
冒頭部(原文より)
このふしぎな物語は旅客機ヤヨイ号が、ヒマラヤ山脈中に不時着した(?)事件から、はしなくも、くりひろげられる。 このヤヨイ号には、ある特別な用事をおびて、ヨーロッパへわたる特使団の一行がのっていた。道彦少年も、その中に加わっていた。彼は、団長木谷博士の小さい秘書だった。 世界地図をひろげてみるとわかるが、日本からヨーロッパへとぶには、どうしても、ヒマラヤ山脈にぶつかるのであった。ヤヨイ号は、仏領インドシナ某地点で、多量のガソリンやオイルを積みこんでから、ふわりと空へまいあがったのであった。 インドの上をとぶことができれば、都合がよかったのであるが、あいにく気象状態がよくないので、この国の上へは、なるべくとばない方がよかった。だから針路をインドの北どなりにとり、まるで天然の万里の長城のようなヒマラヤ山脈を越え、チベットやネパールやブータンの国々の間をぬい、そして一気にアフガニスタン国のカブールという都市まで無着陸の飛行をつづけなければならなかった。これは全航路の中で、一等あぶないところであった。ヤヨイ号は、ついに、この大難所にさしかかった。機の高度は、八千メートルであった。
「氷河期の怪人」海野十三(青空文庫)
末尾部(原文より)
博士は、おかしくてたまらないというように、腹をおさえて笑った。 「そうだ、あの怪人は、わしは氷河期時代の人間だなどとみょうなことをいったっけ。あそこで、これは夢だなと、気がついてよかったはずだったのに」 道彦もおかしくなって、げらげらと笑いだしたが、その笑いはなかなかとまらなかった。
「氷河期の怪人」海野十三(青空文庫)
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