女類(太宰治)のあらすじ・登場人物
男類女類猿類の屋台
- 恋愛
- 心理
- 文字数
- 7,869字
- 読了目安
- 約16分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 東京都
この作品について
1948年(昭和23年)4月、雑誌「八雲」に発表された短編。終戦直後の新橋の屋台を舞台に、編集者の「僕」が屋台のおかみと恋仲になり、酔った先輩作家の「男類、女類、猿類」という珍説に翻弄される。冒頭から語り手が女を死なせたことを告白し、後悔を滲ませる構えが、酔っ払いの冗談と対比される。
あらすじ
終戦後、栃木の生家から上京した「僕」(二十六歳)は、文芸雑誌「新現実」の編集次長になり、新橋の屋台「トヨ公」のおかみに「綺麗な手ね」とほめられたのをきっかけに親しくなる。おかみは僕と同年で、夫とは別れたと言うが、郷里の先輩作家・笠井健一郎に面罵され、絶交を宣告される。笠井は「男類、女類、猿類」という動物学めいた持論で「女に気をつけろ」と諭し、「君はあの女に裏切られる」と予言する。僕は悔しさから、翌日おかみを冷たくあしらい、わかれ話をしてしまう。その夜、おかみは薬を飲んで掘割に身を投げた。ひと月後、笠井は酔って屋台に現れ、おかみに頬を張られ、僕に蹴られる。笠井は千円の香典を置いていく。
登場人物
- 僕 二十六歳の編集者。雑誌「新現実」の編集次長
- おかみ 新橋の屋台「トヨ公」の女主人。僕と同年で、夫と別れている
- 笠井健一郎 酔うと毒舌をふるう先輩作家。女を信用しない
- 柳田 僕の友人で編集部長。抜け目がない
冒頭部(原文より)
僕(二十六歳)は、女をひとり、殺した事があるんです。実にあっけなく、殺してしまいました。 終戦直後の事でした。僕は、敗戦の前には徴用で、伊豆の大島にやられていまして、毎日毎日、実にイヤな穴掘工事を言いつけられ、もともとこんな痩せ細ったからだなので、いやもう、いまにも死にそうな気持ちになったほどの苦労をしました。
「女類」太宰治(青空文庫)
末尾部(原文より)
ピシャリと快い音がしました。トヨ公が笠井氏の頬を、やったのでした。つづいて僕が、蹴倒しました。笠井氏は、四つ這いになり、 「馬鹿、乱暴はよせ。男類、女類、猿類、まさにしかりだ。間違ってはいない。」 もう半分眠っているくらいに酔っぱらっているのでした。手向いしないと見てとり、れいの抜け目の無い紳士、柳田が、コツンと笠井氏の頭を打ち、 「眼をさませ。こら、動物博士。四つ這いのままで退却しろ。」 と言って、またコツンと笠井氏の頭を殴りましたが、笠井氏は、なんにも抵抗せず、ふらふら起き上って、 「男類、女類、猿類、いや、女類、男類、猿類の順か、いや、猿類、男類、女類かな? いや、いや、猿類、女類、男類の順か。ああ、痛え。乱暴はいかん。猿類、女類、男類、か。香典千円ここへ置いて行くぜ。」
「女類」太宰治(青空文庫)
原文を読む
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