火星兵団(海野十三)のあらすじ・登場人物
地球人類よ、戦闘準備をいそげ
- SF
- 冒険
- 文字数
- 307,961字
- 読了目安
- 約10時間16分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
1939年(昭和14年)から翌年にかけて「大毎小学生新聞」「東日本小学生新聞」に連載された、海野十三の代表的な少年科学冒険小説。地球の征服をもくろむ火星人の大部隊「火星兵団」と、それを迎え撃つ地球人類の攻防を、少年・千二の活躍を軸に描く。透明人間、地底の秘密基地、大宇宙をわたる兵器といった当時最先端の空想科学の趣向がふんだんに盛りこまれ、日本SFの始祖と呼ばれる著者の想像力が全開になった長編である。
あらすじ
「火星兵団」——その不気味な噂が街に流れはじめた。老科学者・蟻田博士は、これが冗談ではなく、地球人類が一人残らず滅ぼされる前触れだと警告するが、誰も本気にしない。やがて奇怪な事件が続発する。姿の見えない者に襲われる人々、忽然と消える物体、地の底から届く異様な信号。少年・千二は、偶然その渦中に巻きこまれ、蟻田博士とともに謎を追ううちに、火星から来た者たちが地球征服の準備を着々と進めている事実を突きとめる。透明化の技術を操る火星人の先遣部隊、地底に築かれた秘密基地、そして地球へ向かって近づいてくる巨大な天体。人類の運命は風前のともしびとなる。千二たちは知恵と勇気をふりしぼって反撃に転じ、ついに地球は衝突の危機を脱するが、それは終わりではなかった。「これからは火星人と競争することになる」——蟻田博士は拳をふりながら、少年たちに大勉強をうながすのだった。
登場人物
- 千二 事件に巻きこまれ、火星兵団と戦う少年
- 蟻田博士 火星人の襲来をいち早く警告する老科学者
- 火星人 地球征服をもくろみ、透明化の技術を操る侵略者
冒頭部(原文より)
1 奇怪な噂 もはや「火星兵団」の噂をお聞きになったであろうか! ふむ、けさ地下鉄電車の中で、乗客が話をしているのを、横からちょっと小耳にはさんだとおっしゃるのか。 ――いや全く、こいつは冗談じゃないですぞ。これはなにも、わしたち科学者が、おもしろ半分におどかしたがって言うのではないのですわい。今われわれ地球人類は、本気になって、そうして大いそぎで戦闘準備をしなくちゃならんのだ。
「火星兵団」海野十三(青空文庫)
末尾部(原文より)
蟻田博士の予想は、ほとんどあたっていたが、月の影響がはいって来るところが、すこし予想がはずれたのである。しかし、地球があやうい目をのがれたことは、神のおまもりと、いうほかはあるまい。 「……地球は衝突からすくわれた。しかしこれからは、火星人と競争することになるから、われわれ地球の人類は、これまでよりも、勉強をしなければ、大宇宙の指導者の地位を、火星人にとられてしまうよ。勉強だ、大勉強だ」 蟻田博士は、拳をふりながら言った。千二も先生も、つよくうなずいた。
「火星兵団」海野十三(青空文庫)
名文
もはや「火星兵団」の噂をお聞きになったであろうか!
海野十三『火星兵団』の書き出し。読者に直接語りかける調子で、地球を狙う火星人の大部隊という奇怪な噂へ一気に引き込む。
わしは今から予言をする! 地球人類は、一人残らず死んでしまうだろう。
火星兵団の脅威を説いて名誉教授の座を追われた蟻田博士の言葉。誰にも信じられない警告から、少年科学冒険小説の大事件が幕を開ける。
原文を読む
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