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結婚難並びに恋愛難(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

王女の結婚相手選びの顛末

  • 風刺

芥川龍之介 1925年(大正14年)7月 「婦人の国」

文字数
1,691字
読了目安
約3分
表記
新字旧仮名
種別
小説

この作品について

あなたがたにお話しします、という調子で、アラビアの美しい王女ゼライイドの結婚相手探しを語る、洒脱な小品。十人の候補者表を学術書のように紹介し、アラビアの詩人の詩を引き、最後に意表を突く結末を置く。「婦人の国」1925年7月に載った。

あらすじ

語り手は聴衆に、美しいアラビアの王女ゼライイドの話を知っていますかと問いかける。足は蝋石、腿は象牙、鼻は城門の櫓のようだったと文献にある。結婚の時が来て、王女は賢かったので自分の目で候補者を選ぶことにし、三年七か月十六日の間に作られた候補者表の大略が紹介される。インドの王子は堂々としているが象を山と間違える、ペルシアの王子は美男だが荒淫、宰相の子は学才があるが背むし、バビロニア王は残虐、といった具合に、どの候補者にも決定的な欠点があり、第九号のエジプトの王子は水浴中に鰐に食われ、第十号は魔神の王で居所不明。「東洋文庫」の文書には二百八十人の名があったが、結局どれも王女の希望に合わなかった。ある月の澄んだ晩、王女は恋人とともに王宮を抜け出す。詩人デヂアアルは、ゼライイドよ、沙漠の薔薇よ、君の恋人は幸いなるかなと歌う。その恋人とは、行年七十六とかいう、醜い黒人の奴隷だった。

登場人物

冒頭部(原文より)

あなたがたはゼライイドの話を知つてゐますか? ゼライイドは美しい王女です。何でも文献に徴すれば、足は蝋石の如く、腿は象牙の如く、臍は真珠貝の孕める真珠の如く、腹は雪花石膏の甕の如く、乳房は百合の花束の如く、頸は白鳩の如く、髪は香草の如く、目は宮殿の池の如く、鼻は城門の櫓の如くだつたと言ふのですから、万人に一人もない美人だつたのでせう。このゼライイドも年ごろになるにつけ、誰か然るべき相手を定めて結婚することになりました。

「結婚難並びに恋愛難」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

「君の恋人の杖」や「君の恋人の歯」は多少妙に聞えるかも知れません。が、美しいゼライイドの恋人は――あなたがたはどんな男だつたと思ひますか? 行年七十六とか言ふ、醜い黒ん坊の奴隷だつたのです。

「結婚難並びに恋愛難」芥川龍之介(青空文庫)

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