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煙管(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

金無垢の煙管の皮肉

  • 風刺
  • 歴史

芥川龍之介 1916年(大正5年)11月 「新小説」

文字数
6,467字
読了目安
約13分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

加賀百万石の藩主前田斉広が登城に持参する金無垢の煙管と、それをねだる河内山宗俊らお数寄屋坊主をめぐる短編。煙管の地金をめぐって藩の重役たちが対策を重ねる顛末を、皮肉のきいた語り口で描く。藩主の虚栄心と坊主たちの欲を、煙管という小道具で見せる。

あらすじ

加賀藩主前田斉広は、江戸城へ金無垢の煙管を持参するのを得意にしていた。ある日、お数寄屋坊主の河内山宗俊が「拝領したい」と願い出ると、斉広は体面から煙管を与えてしまう。家臣の山崎・岩田・上木の三人は、登城のたびに坊主に取られては藩の損失になると考え、煙管の地金を銀に変える。ところが坊主たちは、金より与えやすいと見たのか、かえって先を争って拝領に出てくる。そこで斉広は、銀の煙管でもうるさいから金に戻せと命じる。重役たちは真鍮の煙管を金と偽って斉広に持たせる。宗俊は仲間の了哲に「あれは金無垢だ」と言い、ひとり斉広のもとへ行って煙管を貰うと、了哲に投げつける。それは真鍮だった。坊主たちは、斉広の煙管が真鍮だと知って、ねだることをやめる。重役たちは改めて金無垢の煙管を作らせるが、斉広が持参すると誰も拝領に来ない。不安になった斉広が宗俊に「煙管をとらそうか」と声をかけると、宗俊は「以前に頂いております」と丁重に断る。斉広は百万石の勢力が煙のように消える気がする。前田家では以後、煙管は真鍮のものを用いたという。

登場人物

冒頭部(原文より)

 加州石川郡金沢城の城主、前田斉広は、参覲中、江戸城の本丸へ登城する毎に、必ず愛用の煙管を持って行った。当時有名な煙管商、住吉屋七兵衛の手に成った、金無垢地に、剣梅鉢の紋ぢらしと云う、数寄を凝らした煙管である。

「煙管」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

 古老の伝える所によると、前田家では斉広以後、斉泰も、慶寧も、煙管は皆真鍮のものを用いたそうである、事によると、これは、金無垢の煙管に懲りた斉広が、子孫に遺誡でも垂れた結果かも知れない。

「煙管」芥川龍之介(青空文庫)

名文

加州石川郡金沢城の城主、前田斉広は、参覲中、江戸城の本丸へ登城する毎に、必ず愛用の煙管を持って行った。

冒頭の一文。加賀百万石の殿様が自慢にした金無垢の煙管が、江戸城の坊主たちとのやりとりを生む発端となる。

原文を読む

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